第5話 モチベーション
〈まえがき〉
お久しぶりです。本当に。
冬になりましたね、いつの間にか。
マジで本当に寒い。水冷たいし。このまえ気温がはかれるアプリみたいなのインストールしたんですけど、そのアプリの信憑性を一旦信じることにして部屋の気温はかったら外と同じでした。うっそだろ、おい。
ということで、寒いのが非常に苦手な作者、冬の間の自炊を極力避けています(洗い物したくない)ので、小説の投稿頻度が鬼亀更新になってしまっていました。いやー申し訳ない。
清華ちゃんはとってもおりこうなのでちゃんと自炊して、ちゃんと洗い物もします。ていうか私の家が寒すぎるんだって絶対。
〈本編〉
雨の日っていうのはなんでこうもやる気を丸々削がれるのだろうか。
予定していた買い物も、洗濯も、なにもかもする気にならなくなってしまった。
さっきから延々と続けているテトリスだって、いい加減飽きてきた。
マラソンステージをシャトルランなんて、洒落にもならない。
なによりも、
「おなか…すいたなぁ…」
時刻は夕方の4時。
お昼にしてはあまりにも遅く、夕飯にするには少し早い。
けれど、今日は朝から水分以外のものを摂取していない。
これはよろしくない、非常に。
ゲーム画面を乱雑に下向きにフリックしてテトリスをゲームオーバーにする。
あれ、なんだかんだスコア更新してるじゃん。
「炊飯器洗っといてよかった、とりあえず米さえ炊けばどうにかなるところはあるからなぁ」
冷蔵庫は私の胃袋を可視化でもしたかのようにすっからかんだった。
というかずっと前からこの状況だから今日買い物に行こうと思っていたのに。
片隅に寂しそうに佇んでいた卵が2つ。多分、まあ火を通せば食べられる。
「じゃあ卵かけご飯のセンは無し…ゆでたまご…もご飯炊く意味なくなりそうだからパス」
ふとキッチンの戸棚を開ける。
何かの振動で倒れてしまっていたのか、ごま油が使ってほしそうに私の膝に頭を乗せた。
「作り方とか知らないけどまあいっか、それっぽくやってみよ」
フライパンにごま油を垂らして、その上にほかほかのご飯を乗せる。
なんとなくこの時点でもう手順が違う気がするけれど、気にしないでおこう。
ご飯を少し炒めたら、卵を割り入れてかき混ぜる。
「うーん、やっぱり作り方違ったかな、パラっとしないな」
塩コショウを入れてみたり、ご飯を増やしてみても全く変わらない。
仕方なしにごま油を追加して炒めなおしてみる。
…と、みるみるうちにパラパラになっていく米たち。
「えっっっっ、ごま油の二度がけでパラパラチャーハン作れるのか…なんだそりゃ…」
塩コショウをもう一度振りなおして、味の素をかけてほんの少し、爪の先くらいの粉コンソメをかける。
ほんとうはネギとかベーコンとか、まあいろいろほしかったのだけれど、この天気だし仕方がない。
ちゃんとしたのはまた今度作ろう。
「あーーーーーおいしい、めちゃくちゃおいしい。ちゃんとパラパラしてるし、ごまめっちゃ良いにおいするし、塩コショウもコンソメも濃すぎないし、我ながらおいしすぎる」
匙とか計量カップとか、何一つ使わずに何もかも感覚で作ってしまったチャーハン。
今回はたまたまちょうどおいしい量だったのかもしれないし、その場合当然もう同じ味は作れない。
2人分…、客観的に見て女子が食べるなら3人分くらいのチャーハンをものの10分足らずで食べ終わってしまった。
Twitterに写真をあげる。
かなり久々の自炊だ、これくらいのアピールは許されるだろう。
食器をシンクに持って行って、再びテトリスを開く。
さっきより部屋が明るくなった気がする。
鳥の鳴き声が聞こえてきた。
雨が上がったら洗濯機を回して、買い物に行こう。
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