幸いな小鳥を持つ私は幸せ。


 私の子供、『幸』は本当に幸せなんだろうと思う。本当に、いつも幸せそうに笑うの。


 そんな笑顔を閉じ込めておきたくて、手の届く範囲に留めておきたくて。あの子をつい鳥籠に入れてしまう。



 それにしても綺麗な声。鳥のさえずりみたいよね。それをずっとずーっと眺めていたい。私が動けなくなっても、隣で笑ってて。何処かになんて、行かせない。私の側で、私が目を瞑るまで。



 あの子は私の子、私の想いを背負って生きる子なのよ。私が出来なかったことも、きっとやってくれるわ。私は可愛くなかったから皆から注目されることもなかったわ。でも、綺麗な顔した夫を捕まえられて良かった、あの子も美しく育ったもの。いつかあの子は注目される。でも、私以外の誰からも愛を受けとることは許さない。あの子はあの子で、私なの。



 私の手から飛び立つなんて許さない。ずっとずっとずっとずっと私の隣で美しく清らかな声で鳴き続けるのよ?



 こんな美しく生まれて貴女は本当に幸せね。感謝してほしいわ。本当に幸せな家庭に生まれて良かったね。綺麗に育つこと、それも幸せなのよ。誰にも汚されないのも幸せ。優しい母と格好良い父とに愛される貴女は本当に幸せよ。




 羨ましいくらい。





 あの子は私の大事な子。


 だから誰にも触れさせないわ。



 そして、





 幸いな小鳥を持つ私は幸せ。

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