第10話彼女は天使
あの、エンジェルランドのゾンビ事件以来。
俺の住む町は、閉鎖された。
テレビを見ていると、ニュースでありえない情報が流れた。
「こんばんは、午後のニュースです。先日エンジェルランドで発生したゾンビウイルスですが、今日○○県○○市で、新たな感染者が確認され、今も尚、感染が拡大しています。無闇な外出はおやめ下さい。繰り返します…。」
俺がニュースを見ていると、インターホンがなった。
モニターを見ると、涼香がいた。
「なんで来たんだよ、外に出ちゃダメだろ!とりあえず、鍵開けるからすぐに入って、すぐに鍵を閉めてくれ!」
俺は、鍵を開けダッシュで玄関に行き、涼香が入った時点で、すぐに鍵をかけた。
「涼介くん、言いたいことがあるの。聞いてくれる?」
今日の涼香は、いつものニコニコしている涼香ではなく、真剣な顔でこちらを見ていた。
「な…なんだよ…どうした?」
「涼介くんにこれを受け取って欲しいの。これを、涼介くんの身体の1部にして欲しいの。」
俺が渡されたのは、よく分からない形をした短剣だった。
「なんなんだ?この剣は…なにか、これを持ってて俺は得するのか?」
「ちょっと、この部屋借りるね?」
涼香は、そう言って、部屋に入り何やら呪文を唱え出した。
「空、大地、海の神よ、サンドラの短剣を持つものに、力を与えたまえ、守りたまえ。そして、身体の1部になりたまえ。」
涼香がそう唱えると、短剣が黄金色に光だし、俺の手から離れ、剣先が俺の方に向き、気付いた頃には、俺の腹部に短剣が刺さっていた。
しかし、血も出ていなければ、痛くもない。
しばらくすると短剣は俺の身体の中に入っていき、しばらく俺の身体が光っていたが、すぐにその光は無くなった。
「はぁ…はぁ…なんだ、今の…探検は?俺の身体に入ってどこに行った…。おい!涼香…どうなってんだよ!」
涼香は、部屋から出てきて、俺に口付けしてきた。
俺は、びっくりしたが、受け入れていた。
「これで、全ての契約が終了です。オールマスター。」
「……オール…マスター?・・・(チーン)」
涼香は、俺にくっつき、包み込み優しく説明してくれた。
「あのね、涼介は、私の彼氏になってくれたでしょ?天使が人間に恋をしたら、その人はマスターになって、天使の父、神がその存在を認めたら、オールマスターって言って、神と同等の力を得ることができるの。」
俺は、神になってしまったらしい。
ベランダに出て、風に当たっていると、酔っ払ったおじさんが、フラフラしながら歩いてるのが目に入った、おじさんのすぐ横は畑で結構高くなっている。
「危ないなぁあのおじさん…酔いを冷ませてあげれたらいいのになぁ。」
すると、今までフラフラしてたおじさんが、まっすぐ歩き出し、道でタクシーを拾って帰って行った。
「ん…今心の中で、思ってることを言ったら現実になったのか?これがもしかして、神の力?人々を助けるための力か。」
それから、俺の町は閉鎖が解け、学校が始まった。
俺だけが知っている、彼女は天使ということを。
そして、その彼氏が、神の力を授かったことを。
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