第9話涼香の本当の姿

「涼香!ちょ……ちょっと、降りてくれ、頼む!」

俺は涼香に、地上に降りてもらうように、お願いした。

涼香は、何も言わず、地上に降りた。

しかし、ゾンビはまだ追いかけて来ている。

涼香は、大きく美しい白い羽を広げ、呪文を唱えだした。

「大天使様、地の神、空の神様、全ての力を授けたまえ、大地の破壊と、怒りの雷を与えたまえ、サンダーストーム・アースブレイク!」

唱えおわると、涼香が広げた大きな羽は、直視できないくらい光り輝き、足元が大きく揺れ始めた。

それと同時に、空には大きな雷雲が。

「おい!涼香!なんなんだよこれ!」

「話はあとです。まずは目標殲滅を。」

ゾンビがいるところに、巨大な落雷がいくつも降り注いだ。

落雷の衝撃により、焼け焦げたゾンビが宙に舞い上がり、灰になるゾンビ、燃えているゾンビ、その落雷により、地面が割れその割れ目に落ちていくゾンビ。

すると、空の方から声が聞こえた。

「ミカエル…おい…ミカエル…この世界を壊す気か…まったく。」

空の方から、どこかで見たことがある顔の男が降りてきた。

よく見ると、涼香の従兄のあのイケメンだ。

「我が名はルシファー、大地を焼き払う、地獄の王、人助けなど、反吐が出るが、ミカエルの友人となれば、特別に助けてやろう、下がっていろ。」

涼香の従兄、ルシファーの姿が恐ろしくなっていく。

顔と、目は赤く、牙が生え、大きい黒い羽を広げると、ゾンビがいるところは、1面火の海と化し、ゾンビは殲滅し、ウイルスをも焼き付くし、ゾンビは一体もいなくなった。

俺は、息が荒くなっており、涼香のところに行って、状況把握するために、事情聴取をした。

「涼香、あれは一体なんなんだ!その羽と、あの従兄の、悪魔みたいな顔!一体どうなってるんだよ!!」

「私の本当の名は、ミカエル…悪きものを捌く天使です。」

俺は、その場で呆然とし、立ち尽くしていると、涼香が俺にそっと口付けをした。

「今日から、あなたは私のマスターです。マスター、私を呼び出す際は、いでよ、ミカエルと唱えてください。」

そして、ミカエルは羽をしまい、涼香の姿へと変わって行った。

従兄も、悪魔の姿から、イケメンへと戻っていく。

「あれ?なんか、人がいっぱい倒れて…ギャーーーーー!ゾンビーーーー!」

涼香は走り回り、俺の手を取り走り出した。

「おい、涼香!涼香!!何も覚えてないのか?」

俺は、涼香の肩を持ち揺らしながら聞き出した。

「なんのことなの?ここで何があったの??そして、この下に落ちてる大きい白い羽は何?」

涼香は、ミカエルに変わった時は、人間としての記憶はないらしい。

その後、俺は涼香に、何があったか、俺は何を見たのかを、こと細かく説明した。

涼香が、転校してきて、俺に微笑みかけた時は、天使みたいだと、思ったが、本当に天使だったとは、こんなことが、あるとは思いもしなかった。

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