第6話『中国』
お隣さんがまたロケット花火を打ち上げたらしい。一応友人だし、考え方が似てた時期もあったけど、あんま度が過ぎるのも考えものだよね。
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今でも彼女は、韓国とケンカ……って言ってももう何十年もやってないか。そういうことをやってるし、最近はアメリカ相手に啖呵切ったりしてる。良いのかねえあんなことしちゃって。私やロシアみたいに、ロケット花火やヤバい爆竹を何百何千と持ってなきゃ、相手にもならんような国を煽ったんだ。どうなるか見ものだね。
「おい始皇帝。餌だぞー」
ペットの金鶏にエサをやる。金鶏は可愛いぞ。心のオアシスだ。
『中国さん。今おられますか?』
日本だ。そういえば今日、家で会う約束してたんだった。すっかり忘れてた。
「ああ日本。上がってきな。お昼食べた?」
「まだですけど……。中国さん、ちゃんと休めていますか? 隈がすごいですよ?」
「年中花火やってる隣人と、花火の発射筒を私に向ける隣人がいる。しかも片方はヤバい爆竹つきだ。寝れるわけない」
あちらさんパキスタンとも仲悪げらしいし、何なんだろうね。
「中国さんにも非があるのでは? 私ともあるでしょう?」
「……私も一応お金の話には食いつくからさ。それに、石油とガスが出ると聞けば、誰だって欲しがるだろうよ」
私だって石油ビジネスしてみたいんだよ。サウジアラビアみたいに。
「あのアクセサリーは、まだ誰も買い手がついていなかった時代に私が買ったものです。それを中国さんが後から……」
「本当? 前に私が作った『領海法』じゃ、あのアクセサリーは私が買ったことになってんだけど」
「嘘に決まってます。『領海法』を作ったのは一九九二年で、私があれを買ったのは、一八九五年のことです。明らかに私のアクセサリーですよね?」
「んあー、日本。こういうのはまた後で話そう? 私も寝不足で頭回んないし、ほら、小籠包冷めるよ?」
おかしいな。確かに『領海法』で決めたはずなんだけどな……。歴史認識が違うのか?
「いただきます。……美味しいです」
「おかわりまだあるけど?」
「私このあと、アメリカさんと街に繰り出す予定があるので……」
「たまに棍棒ぶん回してるアイツか……。あ、日本。時間あったら麻婆豆腐の素買って来て」
何となく麻婆豆腐食べたい気分なんだよね。ダメなら回鍋肉で良いや。
「はい。ちょうどアメリカさんの晩酌にお出しするおつまみを買うつもりでしたから、中国さんの麻婆豆腐も買っておきますね」
「なんなら日本のおつまみも食べたいな。日本の家行って良い?」
「ええ。……あっ、お茶請けあったでしょうか……」
他国に便乗してご飯食べに行く国におもてなしするとか日本は神なの? やっぱり日本は私のパートナーだね。アメリカが聞いたら黙ってないだろうけど。
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