第125話 ピエールの話18

数か月後、月のラグランジュ点第2エリア、バレンシア

共和国で政治スキャンダルが多発し始めた。

 

今は月の第5エリアへ避難している、リアン・フューミナリ

の罠が発動したのだ。

 

リアン本人からしたら、「人聞きの悪い」ということに

なるかもしれない。リアンが行ったのは、政治家と

経営者は、コンプライアンスを守りなさい、という言葉を

発したのと、窓口を設けただけだ。

 

主に、極右政党国家改革党の、贈収賄、横領、パワハラ、

セクハラ、暴行事件、選挙違反、不正選挙、スパイ、

などなど、党はほぼ壊滅状態となり、この党の前に

政権についていた中道左派の政党が返り咲く動きを

見せていたのだが、

 

この国家改革党の議員が脅迫を受けていた、という

話が出てきた。特殊な分野で使用するコンピュータの

特殊なプロセッサを作る企業から、製品を提供する

見返りに、偏向した政治活動を行えと。

 

そのプロセッサ製品を使っている企業の株を多く保有

している政治家が標的となった。標的となった政治家は

それ以外にもいろいろと弱みを握られていたようだ。

 

その特殊なプロセッサを提供していた企業とは、

月のラグランジュ点第4エリアに本社を構える、

ヤースケライネン社。独占禁止法違反の疑いで、

極秘捜査が開始された。

 

数か月後、浮かび上がってきたのが、高齢のCEO、

ヒルダ・ウッテン。バレンシア共和国の申し入れを、

ヤースケライネン社のあるソニ国は受け入れた。

 

そして、逮捕の際の突入にあたって、コウエンジ連邦

が協力を申し出てきた。そのCEOの部屋がある階に、

通常街中では使用できない軍事タイプの兵器が

あるということがわかったからだ。

 

その兵器は、キサラギ社製のものが二台。これまで

出てきた、民間偽装のアンドロイドとは異なる、

完全に戦場で使うタイプのものだ。

 

そして、キサラギ本社と技術者の協力も取り付ける。

 

ナミカ・キムラは、突入の日に向けて入念に準備した。

特に、2台目に関してだ。ヤースケライネン社内にも

足がかりを作る。そのCEOは、すでにかなりの敵を

社内に作ってしまっているようだ。

 

そして当日、やってきたのは、ユタカ・サトー、

ドン・ゴードン、サキ・キムラ、ナミカ・キムラの

4人だ。

 

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