第126話 ピエールの話19

今回の4人は、国と市の許可をとって、完全武装

している。ドン・ゴードンは、外でホバーに

乗せていた飛行ドローンの準備だ。

 

サトーとサキ、ナミカの3人で社内に入っていく。

サトーは大きな荷物を抱えている。

 

「意外とそういうものなのよ、頭の良さそうな人は。

あちらのお母様との仲がどうなのかとか聞いてみたら」

 

ナミカがサキと何か話している。あまり今日の突入に

関することでは無さそうだ。サトーは緊張してきた。

この日のために練習してきたが、やはり、断れば

良かっただろうか。

 

妻によると、今回もし仮に失敗すれば、かなりの破格の

あれが入ってくるらしい。成功すればそれなりの

成功報酬だとか。目をキラキラさせているように見える

のは気のせいか。

 

あらかじめ連絡が入っているので、案内ゲートと

セキュリティチェックは簡単に通過。セキュリティは

上階以下は一時的に切断できているため、金属装甲

による完全武装でも警告音は出ない。

 

そして、上階でそろそろ警告音が鳴り出したが、通常

この会社の警備員がかけつけ、警察に連絡が入る。

警察はすでに到着していて建物を囲んでいる。

警備員はこの件了解済みだ。

 

そして、最上階からひとつ下の階で、それが出てきた。

キサラギ社製、ラーヴァナ。2本足に多数の腕、

多数の顔。まあ、まだアンドロイドと言えなくもないか。

いや、無理だ。

 

こいつには、サキとナミカがあたる。

 

「でもねえ、私が母親だって、言わないほうが

いいでしょう、あの子、いつもビクビクして気の毒」

「実は父子家庭って言ってみよっか? まあ、あながち

間違いではないし」

「アハハ、それちょっと面白いね」

 

まだなんか話しているが、ぼちぼちマスクを閉める。

開始だ。

 

想定どおり、ラーヴァナは銃器の類を持っていないが、

刃物は全ての手に持っている。基本的に避けたほうが

いいが、装甲で受ける際は角度に気をつけないと

いけない。

 

一分ほど二人は攻めあぐねていたが、目くばせする。

サトーをおとりに使う気だ。サトーは聞いていない

ので、少し慌てる。

 

ラーヴァナがサトーとの距離を詰めようとしたとき、

背後からサキが跳び蹴りを狙った。多数の腕に

跳ね返されるが、その時ナミカが足元にもぐり

こんでいた。

 

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