第57話 ヘンリクの話18

タリア先生の講義が続く。


「そのころはだいたい100年周期で

経済覇権国が入れ替わるの」

「でも宇宙世紀に入ってからの覇権国と

年代を見てもらえば」


「覇権が続く期間がどんどん延びて

いるのがわかるかしら」


「そうだね、チャイナ、インド、エジプト、

ブラジル、どんどん長い期間になっていくね」

とキングさん。


「じゃあ、問題、なぜだかわかりますか?」


「難しいな、でもたぶんあれだろ、過去の

失敗に学んだ系じゃないの」

これは僕もわからない。


「まあ過去の失敗に学んだってところは

間違ってないわ」

「覇権国としての影響力を、あまり行使

しなくなったことによって、長命になった」


「つまりそれまでは影響力を行使しまくって、

そのおかげで短命に終わったと」


「そうよ」

「短期間で強い影響力を発揮しようとすれば

するほど、自分たちを強く見せないといけない、

そうすると、経済も急激に発展させないと

いけない」


「急激な経済発展は自国の通貨高をまねき、

労働力の単価があがって産業が流出すると」

と続けるのはキングさん。このひと意外と

頭良さそうに見えるときあるんだよな。


マッハパンチの4人は宗教上の理由でお酒

をまったく飲まない、てのもこの場で

頭よく見える理由かもしれない。タリア

さんはだいぶ飲んでるけど。


「そうね、だから、その後の国々は、

できる限り影響力を行使しないようにして、

経済もゆっくり成長させるようにした、

そして、軍事費もぎりぎりまで削った」


僕も負けてられない、

「はい、タリア先生!」

「はいどうぞヘンリク君」

「そこの、ブラジルのあとに北米、シベリア、

ムーとありますが、そのあと国の欄に

何も書いてないのはなぜですか?」


「それはねヘンリク君、その年代以降、

覇権国を定義するのが難しくなったからよ。

多極化した、と言えばいいかしら」


「宇宙と地球の人口もその15000年あたり

で逆転してるよな」とキングさん。


「だからコウエンジ連邦が経済の変動を

なるべくゆっくりさせている、とうのはわかる」

「でもおれがわからないのは、コウエンジ

連邦が最近他エリアとの貿易を縮小したり

なるべく小さいエリアで自給自足的なことを

やろうとしてるだろ。なぜなのか?」


そのあたりに次の批判ネタがありそうってことか。

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