第45話 ヘンリクの話6

ボッビボッビの3人といると不思議と

落ち着く。


弦楽器を演奏するビンディ・マクナマラ、

キーボードのメリンダ・リトカ、ボーカルの

タリア・アキワンデの3人だ。


3人とも、うすい褐色の肌をもつ美人だ。

とくにタリアはかなりの美人で、駅近くで

雑貨店を営むタリアの母も美人で有名だ。

本人は背が低いことを気にしてるらしいが。


ビンディは音楽家の親をもつ。その世界では

けっこう有名なリュート奏者らしい。


メリンダは少しふくよかな印象で、いつ

話しかけても少し照れたような話し方

をする。実家は農家。


3人のほかの共通点は、かなりの歴史好き。

旧世紀の歴史にも詳しく、最近僕がハマって

いる島国のセンゴクブショウの名前が

彼女らの口からバンバン出てくる。


カンビーを教えてくれたのも彼女らだ。


なので、普通に接していると、とても

ステージにあがってパフォーマンスをやる

ようには見えない。学校の図書スペースで

静かに読書しているのがとても似合うのだ。


3人のなかで比較的活発な印象のタリアで

さえ、ほかのバンドのメンバとくらべると

ぜんぜん大人しい。


いや、たぶん大人なのだ。とても優しい。


彼らは民族楽器を使って、メリンダは

民族楽器の音をキーボードに取り込んで、

過去の歴史の、先住民族の弾圧や民族差別

について歌う。


その曲調はときに激しく、また、ときに

切なく、悠久の昔から響いてくる哀詩の

ようだ。


彼女ら自身が、そういった弾圧を受けてきた

民族の末裔だとも聞く。


彼女たちから感じる優しさが、そういった

弾圧の歴史の結果だとすると、それは

それで悲しい物語なのかもしれない。


そんなことを心に感じながらも、彼女らと

する話は男の子が好きな大陸のスリーキング

ダムスや島国のセンゴクの話だった。


なんでも、スリーキングダムズとセンゴクは

時代的にかなり開きがあるが、ウェイの

カオカオの書いたサンツが、カンビーや

ハルノブに大きな影響を与えた。


ハルノブに影響を受けたモトヤスが島国を

統一したのは歴史書が示すとおりである。

サンツの背景にはタオ教があり、

ラオジーの哲学が伝説の人物たちを

つなげ、泰平をなさしめたというのだ。


といいつつも、彼女らは大学で歴史学を

専攻していない。ビンディは数学、メリンダ

は化学、タリアは経済学だった。

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