第37話 アミの話13

このフォーメーション変更で状況は少し改善した。


もともとガネーシャはあまりベールゼブブ型と

対面したくない。腐食系の液体を近接で

放ってくるからだ。食らうとじわじわと

関節系が傷んでくる。


射程があまりないため、射程の長いパールバティが

対面するほうが相性はよかった。


だが、次の対面のパズスも楽な相手ではない。

ガネーシャは回避に終始する。煙幕と小型ミサイル

の群れを操られてとても近づけそうにない。


「こんな奴と平気で戦ってたのかよ」

フェイクの腕をあらためて認識する。


防御近接系機体で対面するのもかなりではあるが。


このまま待っているだけではジリ貧であるが、

ガネーシャはパズス型の上空または下空側に

まわりこむかたちであえて敵陣に押し込む。


これが相手に2択を迫るかたちになった。


もともとの戦術である、第3小隊の後方、

狙撃機インドラを狙い続けるのか、中央に突出

したガネーシャを先に片づけるのか。


敵小隊は後者を選択した。


ガネーシャに釣られるかたちでパズス、

イゾウ型、ルシファー型が取り囲むが、

これがインドラ狙撃のいい的となった。


ガネーシャも簡単に墜ちない。回避と

シールドを使った防御と、攻撃を

織り交ぜながら耐える。といっても

数秒の差だが、それが勝負を決める。


それでもガネーシャが大破するが、

そこにアシュラが間に合った。

インドラに削られた3機を、アシュラの

火炎放射が焼き尽くす。


「おーし!」

ふだん冷静なフェイクが声をあげる。


その間、アミのハヌマーンがテスカトリポカに

掴まったが、両軍3機づつ撃墜でイーブンまで

戻した。


そのあと、敵側もベールゼブブを中央に

配置替えするなどして、敵小隊が若干のリード

のまま、両小隊、残遠隔機数が少なくなっていく。


「敵母艦、速度上げています!」

「よし!このまま、気づかないふりで

微速後退!」


状況が有利なのを見て、敵小隊は決めにくる

つもりのようだ。


ハヌマーン遠隔機の3機目が撃墜される。


「ハヌマーン搭乗機準備!」


「アミ、分かってるな!」

「もちろん!」


「ハヌマーン搭乗機、出ます!!」


第3小隊は遠隔機4機を先頭に混戦をしかける。

これにより、敵機を2機沈めたが、敵小隊側は残り

遠隔3機をAIに切り替え、5機の搭乗機が現れた。


彼らは勝利を確信していた。

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