第36話 アミの話12

禍々しい形状をした5機が姿を現した。


「今回はこれに勝たなきゃいけないんだよなあ」

エマドが呟く。


第3小隊はいつもどおりの隊形を組んでいく。

中央はアシュラ、対面にパズス型、右翼はガネーシャ、

対面はベルゼブブ型、左翼はパールバティ、

対面はテスカトリポカ型であるが、


相手側の継続火力担当のルシファー型が左翼対面

でかなり前に出てくる。パールバティ1機では支え

切れないと見てアミが支援に向かう。


ハヌマーンが左翼に姿を現した瞬間、ルシファー型

とテスカトリポカ型が機動機能を発動させた。

6機の翼タイプの推進機構をもつルシファー型と、

変形機能をもつテスカトリポカ型が、ウインの

インドラめがけて急接近を試みる。


ウインの反応は早かった。


インドラは左翼後方から中央、右翼後方へすばやく

回避行動をとり、相手側はあきらめてもとの

フォーメーションに戻るかに見えた。


その瞬間、イゾウ型に一刀両断される。


相手側の遊撃機だ。


「うそー!?」


さすがにウインが声を上げるが、すぐに2番機を出す。

左翼はルシファーとテスカトリポカに回り込まれた

かたちになり、パールバティとハヌマーンとの

2対2の混戦になるが、すぐイゾウ型が飛んでくる。


パールバティが墜ちた。


ハヌマーンはかろうじて脱出する。


「よし、予定どおり、フォーメーション変更!」

「ガネーシャ中央!」

トムからの無線が第3小隊5機に入る。


いったん中央アシュラが下がり、右翼ガネーシャが

中央へ寄る。パールバティ2番機が右翼へまわり

ベールゼブブと対峙、ハヌマーンが左翼に

まわり、対面2機が出てこれないようけん制する。


機動構成と狙撃構成が戦う場合、戦場はつねに

機動構成側が追いかけて、狙撃側がスカーミッシュ

あるいはカイトと呼ばれる後方へ回避する動きを

しながら戦うかたちになる。


そのため、母艦も機動側は少なくとも微速前進、

狙撃側は敵母艦と距離をとる形で微速後退となる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る