第18話 テルオの話3

最近はよく輪廻転生についてよく思索する。


宇宙の年齢は現在時点で約140億年と聞く。

宇宙世紀以前よりも寿命が延びたとはいえ、

それでも150年もヒトは生きられない。


この先宇宙が何億年つづくのかよくわからないが、

これまで自分の意識が存在せず、そして

100年少し生きてまたこの先ずっと自分の

意識が存在しない、


ということはありえないのではないか。


宇宙の広さは、年齢分光が進んだ距離である。

つまり、140億光年四方の広さを持つと

言われる。そしてそれは光の速さで広がる。


宇宙歴22000を超えた今でも輪廻転生に

ついて科学的に解明はされていないが、

少なくとも可能性として、この宇宙のどこかの、

生物として生まれてくるのではないか。


その際に、どの肉体の器で生まれてくるのか、

選択権はあるのだろうか。物理的空間的に、

住居を選ぶようにどの空域のどの生物かを

選べるのだろうか。


もし選べないとしたら、

ある特定の生き物に対して極端に過酷な環境を

意図して作るのは、あまりいいことではない

のではないか。


そういった環境が、すべて自分に還ってくる

可能性がある。


だが、例えば人間であれば、人間以下の

生物と明確にコミュニケーションの方法、

とくに相手の状況を侵害しているようなこと

がないか、ということはわかっていない。


そういった方法は今後見つかるのか。それは、

逆に人類より高度な知性をもった生命体に

対する意思伝達についてもいえる。


我々は、自分たちより明確に、各段に優れた

知的生命体に対して、自分たちの権利を

主張することができるのだろうか。


それは特に、ふだんから弱者をいじめ、侵害し、

迫害し、時によっては死に至らしめるような

者たちだった場合。



少し方向を変えてみよう。


数世代を経て、今の自分とまったく同じ

趣味趣向、こだわりをもった人間が生まれてくる

とする。これは可能性として充分あり得る。


もちろんその人が、今の自分の意識として

生まれてくる可能性もあるが、ほかの意識を

持って生まれてくる可能性のほうが高そう

である。


この場合、おそらく輪廻転生ではない。


しかし、その場合でも、今生きている自分は、その

ひとにいい生き方をしてもらいたい。少なくとも、

自分の人生で味わった苦労を味わってほしくない。


自分が生きているうちに、次の自分のために、

理不尽でつらい思いをしないような、そういった

社会を作れないものか。


自分の意識と、自分の器。

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