第15話 ドンの話

打ち合わせでは、特殊型の起動はもう少し時間が

かかるのと、一体づつシークエンスに上がってくる

はずだった。なのでアミが一体づつ倒していく

手筈だったが。


サトーが裏をとられているのを見て、ドンは事態が

かなりやばいことに気づいた。が、数十体に

組み付かれて、さすがに身動きがとれない。


そこにその二人が入ってきた。


「盛り上がってきたかな?」赤い衣装?をまとった

ナミカと、黒い戦闘着のサキだった。


「そこ、サトーさんのとこ、特殊型ですよ!」


特殊型が気配を感じて飛びのく、

が、一瞬だった。


ナミカに気圧されてじりっと下がった瞬間、

回り込んだサキに背中から打たれた。一瞬で十数発。


停止した特殊型にナミカがロックを極める。

「ごめんねちょっと試させて」

腕、肩まわりをかなり強化されている特殊型の

肩口あたりがバキっと音をたてた。


サキはすでにドンに組み付いているノーマル型に

アプローチしている。そしてドンが動けるようになった。


「サトーさんをお願い」

「うぃっす!」


「アミ!ノーマルやるから!そのまま耐えて!」

「あいよー」



サトーが起きた。


ナミカとサキの二人でみるみるノーマル型が停止

していく。そして、特殊型三体だけになった。


「よーし、こういう場合の戦い方を教えてあげるよ」

ナミカが叫んだ。


「ドンとサトーは二人をゾーニングして!」

「はい!」

サトーは特に返事しないままふらつきながらも対峙する。


アミとサキとナミカ、これも一瞬だった。

ナミカのフェイントにアミとサキ、前後から二十数発

受けて停止。


そしてすぐさま、ドンを吹き飛ばした一体に同様。


その間、サトーはまた落ちた。本日2度目。

同じ絞め技だったがこの短時間でかわし方を思いつくのは

不可能。


サトーを絞め落とした最後の一体に3人が近づく。


「これちょっとわたしやっていい?」

サキとアミが牽制する。ナミカの重い双掌で停止した。


サトーが起きる。サキが話かける。


「サトーさんわかる?」

「ああ、あ、え?えっと・・・」

誰だかわかったのだろうか。


「私が2度とも起こしてあげたのよ」


違う、起こしたのは2度とも私だ。しかしそれは

あえて言わなかった。


そしてそれを聞いてサトーは、安心したのか、また落ちた。

安堵の寝顔で。

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