第14話 サトーの話12

突入といっても、エアロックからは落ち着いて歩いていく。

エアロック入り口はアミが閉めてしまった。


「逃げ道よりも覚悟が大事」

女は強い。


そして、1,000体以上のアンドロイドたちが鎮座するルーム

にたどりついた。アンドロイドたちは文字通り鎮座していた。

一部起動を開始している。


心配していた、有線ケーブルや作業用のテーブルの類は

無かった。


「侵入者でーす」とアミが叫ぶ。始まった。


まずはアミが起動しかかっている10体ほどにすばやく

打撃を決めて停止させる。おれも2体ほど。

彼らはやっとこちらが敵であることを認識したようだ。

わらわらと集まってくる。


そこに雄たけびを挙げてドンが突っ込む、がすぐ引いて

威嚇する。最初の数分はおれの側を気にしてくれて

いたが、おれの動きもよくなったのを見て、

練習していたフォーメーションを開始だ。


ドンを基点にして、三角形をつくる。そしてドンが

ゾーニングして、アミとおれに必要以上に多く

アンドロイドが当たらないようにする。


そして、アミの側はシントウケイを決めながら前進し、

おれの側は後退する。後退しながらもチャンスがあれば

狙う。


これが間違いなく機能していた。


「よーし、サイドチェンジ!」

「一体裏にまわったよ、下がって下がって!」

「サトーさん、うしろうしろ!」


諜報部の連絡どおり、半分近くが確かに起動できていない。

目標はアミが5分間で300体。それ以上かかると、起動に

時間がかかる特殊タイプの4体が上がってきて、

手に負えなくなる。


予想していたが、彼らは多対多にチューニングされていない。

動きにチームワークがなかった。が、少しづつ学習してきた

のか、複数で同時に組み付く。


しかし、ドンに組み付いても、おれに組み付いても、アミの

いい的になった。そろそろ誰を止めないとだめなのか、

アンドロイドたちが気づき出したが、アミは捕まらない。


「待って、下がって。来たわ」


アンドロイドたちが防御的な姿勢をとりはじめたのは、

特殊型が起動して歩いてきたことと関係あるかもしれない。

4体とも。


「やってみる」


アミがアンドロイドの群れに飛び込んでいった。


それを見て、ノーマル型がドンに組み付く。

おれのほうに特殊型が一体来た。


今のおれの実力なら、ぜったいいける、幸いノーマル型が

邪魔してくる気配がない、アミもそのうち残りの3体を

やってくれる。


と、目の端にアミが戦っているのが見えた。3体相手に

とてもシントウケイを打てる気配がない。いや、

人間離れした体捌きで全部避けている。それだけで

充分か。


そして、そいつはいきなりヒザあたりにタックルしてきた。


段違いに速い。


ジェニーのタックルより速くないか?


そして、あっという間に裏をとられる。あれ、ちょっと待て、

首が極まってるんだが、これどうやって極めてるんだ?

掛けられたことないぞこの絞め技・・・


と思っているうちに、意識が遠のいた。

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