第9話 サトーの話7

「ウケるw」

ジェニーがまだ笑っていた。食堂で夕食である。


そして、彼女も座っていた。

キサラギ社製のジェニー型2004年モデルアンドロイド、

同じ制服を着ていたが、出荷時デフォルトらしい。

シントウケイの練習相手だった。同じモデルだったが、

地球で見たものと同じ機体ではない。


「相手が右手を差し出して来たら、こっちもこうやって

 右手を差し出すのよ」そう言ってまだ笑っている。

一部始終を見ていたのだ。


いつかぎゃふんと言わせてやる。


とりあえず、名前がかぶっているので、アンドロイドの

ほうをケイトリンと呼ぶことになった。

もちろん軍用モデルを一般向けに偽装したタイプだ。

でないと練習相手にならない。


さらにシントウケイの練習用に特殊な改造がされていて、

胴内のセンサーによりシントウケイの入り具合を

計測して結果を出してくれる。


エンジニアに来てもらい、掲示板と連動させてカウント

を出せるようにしてもらった。


これで、双子とケイトリン相手の3対3の練習が

始まった。アミのシントウケイの打数は早い。

もう、打つというより触る、という感じの技の入り方でも

カウントされる。いい時で5秒に一回ていど。


おれは、まず胴をなかなか打たせてもらえない。

打ててもなかなかカウントしてもらえない。センサー

正しく動いているのこれ?


そんなこんなで一年が過ぎ、いったん感じた不穏な気配も

忘れ去って、つらいながらも平和な毎日が過ぎていく

ものと思っていた。


その軍人が来るまでは。

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