第5話 山根さん
僕のクラスの山根さんが、元気でなくなってから、三ヶ月がたった。
山根さんは、明るくて、クラスのムードメーカーだったから、みんなはじめはすごく心配したけど、だんだん山根さんが中心にいない教室に慣れてしまった。
「山根さん、僕、図書室にいくけど一緒に行かない?」
「水野くん?」
山根さんは、僕を見上げた。やっぱり山根さんは、前を見てるのがいい。
「なんで?」
「つまらなそうだから。」
「いいよ。」
彼女は本当に僕に興味ないんだなぁ、と思いながら僕は、図書カードを手に取った。
「ねぇ、山根さんなんか変わったよね?」
僕が、山根さんを見ると山根さんは本から目を上げないまま溜め息をついた。
「もう、元気でいる意味ないからね。」
彼女はパタンと本を閉じた。
「飛行機事故、あったの覚えてる?あれ。私の、好きな人が乗ってたの。高校生。」
僕は、山根さんにかける言葉を見つけられなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます