92話 秘密結社・・・ですか?
カチッっと音がするとこちらに向かって、強い光が差し込んで来た。
俺達全員は無意識に光の方を見てしまう。
ドーム君辺りが「かっけー」とか言ってたが口癖なのか本心なのか分からないが、一言だけ。このタイミングで現れる奴は大抵ダサイ。
ドーム君に突っ込むとカーテン越しにシルエットが映し出された。
そこには各々のポーズを取る数人のシルエットが映し出されている。
パッと表現するならキー◯ヘリングスの様なポーズを取っている。
うわぁ。やっぱり変なのが出てきたな・・・。
って、こんな事して喜ぶのあの人達しかいねーし。
「「「「「とう!」」」」」
掛け声よろしくシルエットが飛んだのは3人で、残り2人はお立ち台脇のハシゴから降りてくる姿が見えた。
ハシゴ降りるシルエットって、なんか目が行くよね。
目の前に着地した3人より走ってくる2人のほうがめっちゃ気になった。
「私達の事を呼んだかな?」
怪しげなマスクを被る5人組。
赤と青と・・・白と・・・・肌色と・・・グレーだった。
統一感無さ過ぎだろ!!
肌色とグレーってモンスターの毛皮の色の原色じゃねーか。
しかも、2人ハアハア言ってるし、声でモロバレだ。
元気よく声を出しているのは、メイヤード様だろうレッドってのがメイヤード様らしい。その隣に立っているブルーは知らない人っぽいな。
「ハアハア。」言ってるのは、グレーの宰相アレックスさんと、アホのミサキさんだな。
ミサキさんはともかくアレックスさんは何やってるんですか。
後はあの真っ白いタイツに顔の輪郭がピッチリ出ている
「あなた方は何者ですか? 姿をお見せなさい。」
ベネッタが叫ぶと他の皆がウンウン頷いていた。
皆マジかよ・・・・
俺は皆のリアクションにビックリしていた。
「悩めるお前達の叫びを聞いてワシ等が微力ながら力を貸してやろうと参上したのだ。」
この声を聞いて、ソフィーがビクッっとなった。
そして、俺の方を見たので首を横に2、3回振って見せた。
下を向いたソフィーが俺の後ろに隠れたのは顔が真っ赤だからだろうし、他の皆に悟られたくなかったのかもしれない。
気持ちは分かる俺も父様が居なくて良かったと心から思った。
気づいていない他のメンバーは恥ずかしい5人組の話に真剣に耳を傾けていた。
エリー辺りは気づいても良さそうだが意外に鈍感だな。と観察していた。
ほぼ全員の面割れはしたが1人気になる。
腕を組みドッシリと構えるあのブルーからはどことなくオーラを感じる。
戦闘経験者であり中々の手練だ。
体型的に父様では無いと思うがやな予感は消えていない。
俺の視線に気づいたブルーは顎を擦っていた。
あの癖はどこぞで見た覚えがあった。
こちら側からは皆が警戒して話しかけそうも無かったので、代表で話しかけることにした。
「(知ってるけど)貴方がたは何者ですか?」
俺の質問に右腕を天高らかに挙げた赤が答える。
「我らは謎の結社『お助けファイブ』だ。」
結社なのかよ! しかも名前がダセェ。
「・・・で、その結社の人達が何の用ですか?」
「お助けファイブだ!!」
「・・・で、結社「お た す け ふ ぁ い ぶ !!」」
意地でも呼ばせたいのか。
「おっ。」
凄い抵抗感が半端ない。
口が言う事を聞こうとせずに動こうとしないし、カラカラに乾いていた。
マズイぞ。以外にこの言葉を発するのは難しい。
俺の心がプライドがその名前を呼ぶことを全力で拒絶している。
これを口にするのは魂を傷つける事に等しい。
因縁付けられたヤンキーに土下座する事とか、女の子が男子トイレに入り込む事とか何か穢れた感を感じてしまう。
みんなの視線が俺に集まり。嫌な空気が流れ始めた。
俺も汗が滲みでる。だが、これを口にしないと先はない。
意を決する。
「お・・・・」
「お助けファイブ。カッケー。」
ドーム君が大声を上げる。
「そうか。そうか。カッコイイかー。」
メイヤード様が優しい声を出し始めたため、嫌な空気が一瞬で瓦解した。
お助けと言いながらこっち(主に俺を)を潰す気満々なのが分かったのでヒヤヒヤしたが取り敢えずは大丈夫そうだ。
ふぅ。助かった。
「それで、お助けファイブの皆様は何故この場所に?」
引き続きアレス様が俺のセリフを言ってくれたので、俺は聞き手に回れそうだ。
「なに。お前たちの覚悟を試させて貰いに来た。」
腰に手を当てたブルーが張りのある声で答えた。
よしっ。声も父様じゃない。小さくガッツポースする俺。心は一気に軽くなった。
そして、俺の心が救われた時、お助けブルーに対して喰ってかかる人がいた。
「私達の覚悟だと? そんなもの最初から持っている! ここに居るって言うだけで証拠にならないのか!!」
「そうだ。お助け・・・結社の力を受けるにはそれ相応の覚悟を見せてもらわねばならん。」
「あっ、おじさん。お助けファイブって言わないとダメなんだぜ。カッケー名前なのに!!」
「・・・・。」
アレク君とドーム君とお助けレッドが反応をしめす。
「お助けファイブ(ボソッ)・・・・小僧ども覚えておれよ!!」
レッドのプレッシャーでブルーは消え掛かりそうな声で
(余計なことを言った)ドーム君と(完全に巻き込まれた)アレク君は顔色を青くして口をパクパクさせていた。
アレク君。強く生きろ。
幸い相方は何も考えない楽天的な考えの持ち主の様なのできっとこの先もポジティブに頑張ってくれるだろうさ。
俺は、ブルー達から目をそらした。
気になるのは配役だった。
アレックス様とミサキさんの役割は分かるがメイヤード様とおじさん。
それと謎のブルーマスクは何をする気だろう?
「イッセイ! ソフィア! エリンシア! ローザリッテ! 来な。」
さきに動いたのはメイヤード様とおじさんだった。
俺達を大声で呼ぶとお立ち台の方へと向かう。
その声が皮切りになって他の皆も残りの3人に呼び出されていた。
アレックス宰相には、アレス様とグレフ君。
ミサキさんには、ローザリッテさん。
謎のブルーは問題なくアレク君とドーム君を名指ししていた。
・・・
メイヤード様の指示で少し離れた場所に来たので俺は聞いてみた。
「メイヤード様と叔父さんは何時までその格好をしているつもりですか?」
「な、なんの事だ!? ワシはレッドだ。」
「ワシもおじさんと言われても知らんぞ!!」
ワシはレッドだ。ホワイトだ。と、あくまで
気付いていなかったのかエリーとベネッタが動揺していた。
お前らマジか?
「・・・はぁ。で、今更何を確認するのですか?」
ここに居るのは既にメイヤード流の門下生。
覚悟もなにも入った時点で、覚悟なんてのは確認されている。
「お前達にはこのホワイトと戦ってもらう。苦戦する対戦相手が必要だろう?」
腕を組みドッシリと構える叔父さんことホワイトがこちらを威圧してきた。
勇者である貫禄かはたまた経験者としての経験か3人は叔父さんの威圧にたじろいでいた。
なるほど。これはありがたい。
勝手知った相手とトレーニングを積んでもマンネリ化するだけだし、癖が付く可能性がある。
「1対1ですか?」
「いや。1対3だ。お前達は強大な敵相手に1体1で挑むのか?」
俺の問にホワイトの低い声がこだまする。対外来種を指しているのだろう。
確かに今の3人の実力では外来種と1対多で挑んでも怪しい状況だ。倒す云々より生き残るのすら難しい。
流石だ。丁度いいタイミングで出てくる。
「さて、お喋りはここまでだ。」
叔父さんの闘気が一気に膨れ上がった。
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