第7話夢の続き-アナスタシア

ハイランドの神殿の祭壇で、イリアは鎖につながれ、眠っている。ネルーやアナトリアの軍隊の気配、イグニスの気配もない。


--イリア


男の声がする。夢で何度も聞いた声。機械じかけの神の声だ。教えてあげるよ。ここは夢なんだよ。だから。男はイリアの頰を触る。そして優しく身体に触れていく。私をどうするの?さあ君は知らないことだ。顔を覗き込まれ甘い息を吹きかけられる。何か飲む?別にいい。そう。そう言って、ユーグリッドは少しずつイリアの服を脱がせ、裸にする。気分は?寒くないかな?何をするつもりなの?君は何も知らないから--。男はイリアの手の爪を舐め、首を優しく噛む。膣の入り口に指を入れられる。痛い。男は静かに言う。私に喰われたいとは思わないのか。イリアを繋ぐ鎖がかしゃかしゃと鳴りそれ以上の行為に抵抗を示す。やはり子供だな。男は代わりにイリアの唇や耳を舐め出す。そろそろ私も我慢の限界だ。男の黒い外套がイリアを押し倒す。そっと乳房に手を当てられる。いつもの優しい黒い瞳ではなく、貪欲な獣のような瞳で覗き込まれる。さて、食べてしまおうか。


あれから何日経ったのか、男とイリアの行為は何度も続いた。イリアがあまりに暴れるため、鎖の数は増やされた。なかなか子供が出来ないな。男は愛しそうにイリアの腹を撫でながら言う。イリアは出された食事も食べないため、げっそりしている。痩せたな。どこを見ている。何を考えている。私だけを見てほしい。


-いつまで目を閉じてここにいるつもりだ。この抱かれることしか能のない人形め。目覚めよ。この身体は私のものだ!


あなたは誰なの?


「目を覚ましてください!イリアさん!」

ネルーの絶叫がアナトリアの城内に響き渡る。何ヶ月も昏睡状態だったイリアがふいに立ち上がる。

「我は神に魔を捧げ、世界を滅ぼすもの、アナスタシア。」「イリアならあえなくあの悪魔に喰われたよ。ま。神なんだがな。」


あなたは--。


どこからか無明の風が吹き、イリアの風貌が

白い銀髪、そして白い巫女服に変わる。銀髪が風に吹かれる。髪から端正な面持ちがのぞく。まだあどけなく少女といった出で立ちだ。我が名は神をかどわかし交わった魔女アナスタシア。あの男は愛してくれないこの私を。旧文明時代オーエンによって私は世界維持の生贄にされていた。私は運命と自身の生を呪い、それを書き換えるため滅びを願った。その時現れたのがあの異形の神だ。だがあの『男』は私の娘にばかり気をかけた。だから人形にしてやった。我が末裔を。全ての運命を引き受け終止符を打つものよ。どうするのだイリア・コールフィールド。今頃おもちゃにされてるだろうに。女は静かに笑う。私はあの男の愛以外選択しないことを選んだ。この世界など滅びればいいのだ。

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