第10話 ルークの過去 ー3

「はあはあ……。やっと全ての魔物が片付いた……」

 ルークは立っているのもやっとな状態でそう呟く。ルークは周囲にいた数百匹魔物を相手にした際、その集団のリーダー的存在だった"レガンタ"というねずみの姿をした大型の魔物にワイバーンの変異種との闘いの疲れや、天限解放オーバーワークの効果が切れかかっていたせいもあり苦戦を強いられた。合間合間でどうにか魔力回復ポーションや体力回復ポーションを使い、全ての魔物を始末することが出来たのだ。どれか一個でも欠けていればルークは今頃天に召されていただろう。

 ルークはふらふらとした足取りで街の方へと向かっていく。仲間だった・・・・・奴らにつけられたモンスターを誘き寄せるアイテムの効果はもう既に消えている。ルークはぼんやりと周囲を見渡しながらただただ歩く。

(……もう冒険者でも止めて平穏に暮らそう……。仲間も必要ない。裏切られるくらいなら最初からいらない……)

 ルークがそんなことを思いながら歩いていると、



ーーールーク様。ステータスを確認してくださいーーー



そんな声が脳内に響いた。普段のルークなら誰だ! などと警戒するのだろうが、今のルークにはそんな気力は残っていなかった。なので、脳内に響いた声に従いステータスを確認することにした。



名前:ルーク   


種族:統神族


Lv.999


HP     ーーーー

MP     ーーーー

STR    ーーーー

VIT     ーーーー

DEX     ーーーー

SE      ーーーー


スキル

#天限解放__オーバーワーク__# #万物創造__オールクリエイト__# 神魔術 剣術 武術 拳術 魔術 杖術 馬術 斥候 弓術 念話 罠設置 罠感知 気配察知 気配遮断 

称号

神々に認められし者 神々を統べる者 転族せし者 仲間に裏切られし者 神々の寵愛を受けし者


ーー条件「死闘」達成→レベル上限解放ーー


ーー条件「絶望」達成→レベル限界値まで到達ーー


ーー条件「神々の寵愛」達成→ステータス大幅上昇、スキル大量獲得、転族ーー



ルークはステータスを見た瞬間目を見開き、見間違いではないかと思い目を擦る動作をしたあと再度確認したが、見間違い等ではなかった。

「…………!? なんだこれ……!?」

 ルークは今までの重かった雰囲気を忘れたかのように口をパクパクさせながら固まってしまった。それもそのはず。数値が全く表示されていないし、称号とか言う今までなかった項目が追加されていて尚且つ種族も変わっていたりで……。驚かない方が無理と言うものである。

 ルークが暫く放心状態でその場に立ち尽くしていると、

(ルーク様。ステータスはご確認頂けましたか?)

先程脳内に響いた声が再び聞こえた。声からして女性だろうか。

「う、うん……。確認したけど……。所で君は誰なの?」

(すみません、申し遅れました。私は八柱の神の一人、癒しの神の"ファーナ"です。あなたは本日より統神に選ばれました。その事を知らせるべく私がこうして呼び掛けた次第です)

「…………あの、幾つか質問させて貰っても?」

(なんなりと)

「まず、統神とは?」

(はい、統神とはその名の通り神を従える者の事です。神は八柱存在しており、それらの頂点に立つ者が統神と言った方が分かりやすいかもしれません)

「………………」

 ルークはファーナの言葉に更に驚き、最早何がなんだか分からなかった。神々の上に立つ者? 一体何の冗談を言っているのだろうか。

(冗談等ではありません、事実です。天界にお呼びした方がご納得頂けるかもしれませんね……。シエラ、転移魔法の準備を)

(了解よぉ!!)

「うぉ!?」

ルークはもう一人別の元気溌剌とした声が聞こえてきたことに驚く。どうやら声の高さからして女性らしい。

 ルークがぼんやりとそんな事を考えていると、突如ルークの周囲一帯に巨大な白色の魔法陣が出現した。その魔法陣は眩しく光を放つ。ルークはその眩しさのあまり、咄嗟に腕で目をかばう形になる。暫くすると、白色の魔法陣は消え去り、ルークもその場から姿を消した。これが後々シーラス大草原大爆発事件などと誤解されて世界中に広まったそうだ。


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ダンジョン経営なんてロクなもんじゃない!? Mei @reifolen

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