第2話
『私』。14歳の秋。
中学二年生である私は、
私が通る道は、大体が車の多く走る大通りだ。車が多い分、当然歩く人並みも多い。現在時刻は、もうすぐ昼時の11時半を回る頃。この時間帯でも、人通りは
こんな中途半端な時間帯だ、当然、私の周りに制服姿の学生の姿は無い。みんな学校だ。今頃、早く昼にならないかな…とでも考えながら、長々と授業を受けているのだろう。
では何故、私がこの時間帯に学校に向かっているのか。それは私が不登校だからだ。学校なんて嫌いさ、行きたくない。出来ることなら家に閉じこもって、一晩中、ネットの人達と会話や、ゲームをしてたい。夏を越した今、それなりに気持ちいい風が吹き流れる
そんなこんなで学校の正門へ着いた。堂々と私を向かえる、少し赤錆びた大きな門。私はこの門が嫌いだ。入学式を思い出し、期待に焦がれて入学した時の、まだ青くて幼かった私を思い出しては、
「…おはよう、ございます」
木で造られた、職員室の古い扉を開ける。
目の前に映るのは、パソコンの前で腕を組んで腰掛ける教頭だ。私に気付くと、少し慌てた様子で話し出す。
「…あ、前原くん。おはよう、今日も来れて良かったです。えっと、池口先生には会った?」
池口、とは、私の担任だ。眼鏡をかけ、白髪混じりの黒髪をした、男性教師である。
「いえ、会ってないです」
私は簡潔に答える。
「そう。今日もまた、相談室かな?」
「…はい」
"今日もまた"、と言われるのが、少し悔しいと思った。
「じゃあ、相談室の福田先生に言っておきますね」
「はい。ありがとう、ございます…」
そう言って、私は職員室の扉を閉めた。やけにずっしりと、扉が重く感じた。
夢想 瀧 @ajinomoto619
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