第20話 ゾンネの過去
アルカディア国に奇襲攻撃を仕掛ける数ヶ月前に、ゾンネはある出来事を思い出していた。
ゾンネは一人の美少女と草原で戯れている。
その美少女の名前はルナ。
ゾンネはいつも泣き虫だった。泣き虫故に臆病だった。
「ルナ私魔法なんて上手く扱えないわよ」
一方ルナはいつも自信満々な表情で、毎日を過ごす笑顔が素敵な美少女だった。
「ゾンネは臆病すぎだよ。もっと自分に自信を持って行動してみなよ。絶対ゾンネなら凄い魔導師になれるって。約束したでしょ私達」
「そうだけど」
ゾンネとルナは貧困層が集まる国で生まれた。二人は孤児だった。孤児院の友達は紛争の繰り返しで、全員亡くなった。
だから二人は約束した。二人で立派な魔導師になって豊かな暮らしをしようと。
多くの人々を救おうと。
ゾンネは太陽のように真紅色のロングのストレートで瞳の色も真紅色だ。
ルナは月のように金色に輝く髪と瞳だ。
ルナはゾンネと違い天性の才能を持ち合わせていた。
「ルナ……私はルナみたいにはなれないよ。才能もないし」
ゾンネの言葉を聞いてルナは首を傾げる。
「才能なんて関係ない。出来るまで努力すればいいんだから。それにゾンネに何かあったら私が支え助けるよ。だって私の一番の親友だから」
「ありがとう」
ゾンネとルナが15歳を過ぎた頃ある二つの現象がルナに起き始めた。
そう、ルナは肉体的成長がなかったのだ。
ゾンネは体が成長して大人になっていくのに対しルナはいつまでも少女のままだった。
そしてルナは魔力も膨大すぎてコントロールできずにいた。それ故に苦しんでいた。
実はルナは二つの病気に犯されていた。
一つは不死の病。彼女は決して老いる事も死ぬこともなかった。
二つ目は魔力が膨大すぎてコントロール出来ず自身の肉体、そして精神を守るため意識を消失させることだった。
ルナは16歳の時に意識を失い植物人間となった。
ゾンネは絶望した。
唯一の親友がもう笑顔になってくれない。私の話に反応してくれない、人形になってしまった事に。
ゾンネは毎日毎日泣き続けた。
しかし泣いても状況が変わるわけではなく、時間だけが過ぎていった。
ある日一人のフードを被った人物にゾンネは出会った。
フードを被った人物に七つの宝石を集め伝説の島アヴァロンに行けば願いが叶うと教えられた。
ゾンネは心の闇に一寸の光明を見た気がした。
ゾンネはそれから宝石を集める事に専念した。
例え人を殺してでも、何かを犠牲にしても。
親友の為残忍な性格へと変貌した。
そしてゾンネが20歳の時ようやく一つの宝石を継承した。
これがゾンネの過去である。
現在ゾンネはブラックリングを率いてアルカディア国に奇襲攻撃を仕掛けようとしていた。
「待っててルナ。いつか必ず私が目覚めさせてあげるわ」
そしてゾンネはアルカディア国へと奇襲攻撃を仕掛けた。
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