第12話 ハイルの素顔が美少女すぎた

俺達はスノー帝国へと入国していた。手続きも面倒くさくなく、アルカディア国よりセキュリティは緩い。


 まあだからこそスノー帝国には情報が集まるんだろうな。


 「ルクス暫くは情報収集じゃ。それにしても雪が綺麗じゃのう」


 「ああ雪が綺麗だな」


 雪が綺麗だった。地球の雪よりも綺麗に瞳に映る。


 エデンの横顔は雪より綺麗で可愛いな。


 それにしても寒い。寒すぎる訳ではないが寒い。


 「お腹すいたのう。先ずは食堂じゃ。腹が減っては何とやらじゃ」


 ロリロリなだけあって性格も意外と子供っぽいな。


 しかしそこが可愛い。


 食堂に行きメニューからパンとスープと肉と果実ジュースを注文する。


 「横いいかしら?」


 「ああいいですよ」


 うん? 何か見覚えのある声だな。


 「あ?」

 

 「あ?」


 俺は咄嗟に席を立つ。ハイルも立ったままだ。


 「何じゃ知り合いか? ってお主ファーリーを殺した者か」


 エデン。何でこんな落ち着いていられるんだ。


 相手はファーリーを殺した奴だぞ。


 「目立つわ座りましょう」


 「あ、ああ」


 食堂中の客の視線に耐えられず、思わずハイルの言葉に従ってしまう。


 「私の名前はハイルよ。ルクス宜しくね。そっちは?」


 何呑気に自己紹介なんかしているんだよ。ハイルって名前だったのか。意外と可愛い名前だな。


 「妾はエデンじゃ。お主に会いたかったんじゃ、食事が終わったら酒場で話さぬか?」


 「いいわよ。私お酒飲まないけど」


 「大丈夫じゃ妾も飲まぬ」


 何だこいつら。緊張感なさすぎなんですが。


 ファーリーの事少しは労ってやれよ。ファーリーとは親しくはなかったが、目の前の人物は人殺しだぞ。


 いや? 俺も悪魔皆殺しにしてたな。似たようなものか。


 エデンが食堂で満足そうに食べている姿を見ると幸せな気持ちになる。


 一方ハイルは飲み物を飲もうと仮面を取る。 


 え⁉ 仮面取っちゃうの。素顔晒して大丈夫か? 


 「おいハイル。いいのかよ素顔晒しても」


 「別に趣味で仮面してるだけだし、素顔晒して何か問題でも?」


 ハイルは不思議そうに首を傾げる。


 その仮面趣味だったのかよ。何だよちょっとミステリアス感出してたから、深い事情があるのかと思ったじゃねーか。


 さてさて素顔を拝まして貰おうかな。


 ハイルは普通に狐の仮面を取り、飲み物を飲む。飲んでいる飲み物は俺と同じ果実ジュースって今はどうでもいい。


 素顔可愛すぎだろ、何で仮面なんてしているんだよ。もったいなさすぎる。


 「お前可愛いな」


 「何? 告白? 食堂で」


 しまった……つい心の声が口に出てしまった。


 いや別に告白ではねーから。ハイルの素顔が美少女すぎたのは事実だけど。


 うーん。エデンやアウラとはまた別のベクトルでの美少女だ。


 「ありがとう。ルクスこの前はごめんなさいね」


 「いきなり何だよ。俺とお前は敵だろ」


 「さあどうかしらね」


 俺達は食事中に少しの会話を挟んで食事を終える。


 酒場が満席だったのでそこそこ高級な宿に一泊することにした。


 問題は一部屋しか余ってなく、三人一部屋ですけどね。まあベッドは二つありますが。


 「早速で悪いんじゃが単刀直入に聞くぞ。お主の宝石を集める理由はおとぎ話を信じているからなのかのう?」


 「いいわ少し長話になるけどルクスとエデンに私の事を話しましょう」


 何やら雲行きが怪しいんですが。ハイルが素直に話すって。


 「先ず私は単刀直入に話すと宝石を七つ集めて伝説の島に行きたいわ。だからファーリーを殺した」


 「なるほどのう。伝説の島がある場所は検討がついておるのか?」


 「まだよ。それより今私を信用してくれるなら私の今の立ち位置を話すわ。どうする?」


 エデンは俺に視線を送る。


 こんな大事な場面で俺に決断を託さないでくれるかな。凄いプレッシャーなんですけど。


 「信用してやる。ただ一つだけ先に答えろ。俺と接触した時願いを叶えてやると言ったがどういう事だ」


 「伝説の島の住人は願いを叶えてくれるって言い伝えがあるからよ。確証はないけどね」


 確証なくて自信満々に話していたのかよ。よかった~断っていて。


 「では聞かしてもらうかのう。お主の立ち位置」


 ハイルは夜遅くまで俺とエデンに自分の事を話してくれた。


 要点を纏めると


1 .ゾンネという女性が宝石のありかを知っていて、それを聞き出そうと部下のふりをしていること。


2. 謎のフードの人物から情報を得ていること。


3.行方不明になった親友を探す為に宝石を集めていること。


 こんなところか。意外と立ち位置が厄介だな。


 親友を探す為なら仕方がない。そんな説得力を持った言葉がハイルの言葉にはあった。


 「さて私とどうしたい? 話すことは話したわよ」


 エデンは満面の笑みを浮かべてハイルに提案を促す。


 うわあ満面の笑み怖すぎなんですが。


 「妾とルクスの仲間になれ。アルカディア国で暮らすんじゃ。ルクスも妾も強いから身の危険はない。どうじゃ妾の提案は」


 ハイルは長考する。ハイルは暫く考えた後答えを導き出す。


 「いいわよ。その提案に乗るわ。情報を共有する仲間になりましょう。宜しくねルクス、エデン」


 えええええええ⁉ マジですか。


 ハイルそれでいいのか。急展開すぎーー。


 「宜しくじゃハイル。手続きは任せろ妾に」


 三人、いや正確にはエデンとハイルの二人は合意した。

 

 俺はというと急展開についていけなかった。


 まあいいかハイル悪い奴ではなさそうだし。


 人殺しなんてこの世界では珍しくもないかもしれないしな。


 その日俺達三人はなぜか二つベッドがあるのに一つのベッドで眠った。


 俺真ん中なんですけど。なぜ? 興奮して眠れません。


 こうしてハイルが仲間になった。

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