第2話 スクールカースト最下位ですが地下闘技場で無双しました
「今日から転入生がやって来るわ。皆仲良くするようにね」
「はーい」「精進します」「頑張ります」
「さあ入ってきてちょうだい」
俺は緊張していた。何せコミュ障だから。そりゃ美少女は好きだが、いきなり異性の動物園に放り込まれたら誰だって緊張するだろう。
「ええとルクスといいます。宜しくお願いします。皆さんと学園生活を仲良く過ごせたらいいなと思っています。是非仲良くしてください」
ああ言えた。何度も壁とスピーチした事が役にたったぞ。壁センキュー、愛してるよ。
「じゃあ席は一番奥の窓側の席ね。アウラの隣に座りなさい」
「宜しくお願いします。アウラさん」
俺の挨拶に無視を決め込むアウラ。俺は内心ムッとするが冷静になる事を忘れてはいけないと脳内に響かせる。
授業は数学と歴史とこの世界の言語であるデア語と、魔法に関する授業だ。詰め込み教育ではないが、俺には難易度が高すぎる。
放課後俺は教室の清掃を押し付けられた。どうやらこのクラスでのスクールカーストは最下位なようだ。
様々な女子に話しかけられたが、コミュ障だったからか上手く話せなかった。結果舐められたようだ。それに男子が一人なのも絶対原因の一つだ。いや絶対それが主な原因だ。
俺は教室内の清掃を終えて風に当たりたく屋上に向かうと、一人の銀髪の美少女が佇んでいた。
「何貴方も風に当たりにきたの?」
「あ、ああ」
気まずい。気まずいぞ凄く。
「その校章の色からして私と同じ同学年。名前は?」
「ルクス。お前は?」
「私はクラーラ。そう言えば男子が転入してくるって噂があったけどルクスのことね」
「そう言うことになる」
「学園の地下闘技場に案内してあげるわ。行きましょう」
「え⁉ ああ」
断れる雰囲気になく、仕方なくクラーラに案内される形で地下闘技場に行くこととなった。
「ここが地下闘技場よ。闘ってみる?」
「え⁉ いやいいよ俺は」
地下闘技場は凄く広く客が多いが、何せ客が全員女性だ。ていうか一つ気づいた事がある。それはこの国アルカディアには女性しかいないという事実だ。授業で習った。それどころか男性は極端に少数であり貴重な存在なようだ。
大丈夫かこの世界。
「ルクス手続きしといたわ」
「ええええええええええ。なぜ俺断ったよねクラーラ話聞いてた?」
「面白そうだったから、実力も見たいし」
最悪だ。スクールカースト最下位の俺が悪目立ちなんてすると何をされるかわかったもんじゃない。二週目の人生でまで悲惨な人生は嫌だぞ。
「何とここで飛び入り参加だ~~。アルカディア唯一の男子ルクスが緊急参戦だ~~」
客が一気にどよめく。モニターに勝敗予想が表示され0%対100%の表示になっていた。
「そしてルクスの相手はこの学園ナンバー5の実力者エミリアだ~~。さあさあ賭けた賭けた」
最悪の展開だが仕方ない。実力差を見せるいい機会だ。少し遊んでやるとするか。
「私が相手になってあげる。負けたらアルカディアから出て行きなさい。男子が側にいると穢れるわ」
「ふーん。じゃあ俺が勝ったらお前俺の奴隷ね」
「言いわよ。私が負けたら奴隷にでも何でもなってあげるわ。まあ万が一いや億が一にもないけどね」
一人奴隷を作れればスクールカースト最上位に立つのも夢ではない。エミリアには悪いが奴隷になってもらおう。
「では尋常にいざバトルスタート~~」
エミリアは右の腰に帯同している剣を抜き俺に向かってくる。少し遊んでやるか。
ガキィン、ガキィン、ガキィン。
俺は具現化魔法で剣を作り出し、その剣にさらに魔力を重ねる。二重魔法は俺が婆さんから習った魔法の一種だ。
エミリアの剣のスピードは一般的視点から見れば速すぎて目視出来ないだろう。しかし、俺には止まって見える。箸でハエをつまむより簡単だ。
「これは二重魔法。少しはできるじゃない。いいわ私も見せてあげる」
二重魔法発動
エミリアは二重魔法で俺に襲いかかる。婆さんの魔法で十分だが見せてやるよ。真の絶望をな。
チートスキル発動
俺は
「な……何が起きたの。私の魔法が抹消した」
「まだやる? やるなら容赦しないで殺すけど」
「降参よ。こんなのに勝てる筈ない」
「今日から奴隷決定ね。宜しくエミリア」
俺はさっさと地下闘技場から脱出する。外に出ると息を思いっきり吸って吐くを繰り返す。
ああ~緊張したー。エミリアを奴隷にしたけど、関わるのはやめておこう。
「ルクスお見事ね。客も茫然自失だったわよ。勿論エミリアも。それにしても強いのね感心したわ」
全ての元凶が何をいう。明日から俺の噂で学園は持ちきり確定じゃねーか。釣られて実力見せるんじゃなかった。
俺って不幸すぎるだろ。
後日予想通り自分の話題で学園中はおろかアルカディア全体で持ちきりだった。
コミュ障には辛すぎます。
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