取り残された夏の私

取り残された夏の私

　チリンチリンとどこかの民家から涼しげな風鈴の音が聞こえた。

　それはあまりに静かな街の通りに響く。

　少し前までは花火のドンという大きな音と祭りに湧く人々の声がうるさいくらいに賑やかだったのに、今のこの寂しい通りからはそんな様子は全く想像ができない。

　風鈴が呼んだのか、ヒューと夏らしくない冷たい風が吹く。

　季節は移ろい青々とした木々はその身を紅く染め、静かな秋が来ようとしているのだろう。

　ああ、夏が終わるというのに、私はまだ半袖に短パンのままだった。