第13話 瞳の影

 ‪瞳を見ると、その瞳が鏡になって、私の影が顔を出す。‬


 ‪私だと思っていた姿に黒い布のような影がまとわりつき、あなただと思っていた姿が私の影に変わる。あなたの声が随分と遠い。‬


 ‪私はただそれを見ていた。‬

 私は、目の前の影が影なのか私なのか、あなたなのか、すべてが分からなくなる。

 周りが霧で包まれて、境界が曖昧になる


 あなたを見ている時、あなたは私を見ているの


 随分近くから声がする。

 手を広げる。抱きしめる。


 すごく、孤独な匂いがした。

 私は目を覚ますと、私は涙を流していた。

 少し先で、あなたは泣いてこちらを見た。

 瞳を見ると、瞳の鏡が、涙で屈折して、ぐちゃぐちゃに歪む私がいた。


 私はまた、愛おしく思った。

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