第6話タイムリープ2日目ー1

「お兄ちゃん、おはよう」

 ノックもなしに妹が、俺の部屋に入ってくる。その姿に、何となく違和感があった。何時もの風景といったら何時もの風景なのだが、強烈なまでに見覚えがあるような気がするのだ。なぜだろう、と俺は首を傾げる。

「真理、今日って何日だ?」

 俺は携帯を手に取っていた。

 そこには、信じられない文字が浮かび上がっていた。だから、俺は思わず真理に確認してしまったのだ。真理は、俺の可笑しな行動に首を傾げていた。

「何日って……入学式の四月六日だよ。春休みはこれで終りなんだから、はやく起きて」

 妹はそう言って、俺の部屋から出て行った。

 着ている制服は新品で、当然のごとく俺の部屋に用意されている制服も新品である。

 俺は呆然とする。もう一度携帯で確認してみても、間違いなく四月六日であった。念のため、ネットも確認する。だが、俺の携帯と同じように四月六日のニュースを伝えていた。疑いようがないほどに、今日は四月六日であった。

「おい、これって……」

 間違いなく、俺はタイムリープしていた。

 俺は、頭を抱える。

 この現象は、俺の近くにタイムリープの能力者がいる証拠でもあった。

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