過去の選択 その1
王都についた俺はオー児を放置してクレアたんの所に直行した。
「クレアたんは!クレアたんはどこだぁ!!!」
王都を3周ほど走り回って奇怪な噂が王都中に広まった頃、ようやく落ち着いてきた
王女って事だから王城にいるのかと思ったけど、そもそも城が無い。
というか建物の区別がつかない。
王 都 丸 ご と 豆 腐 建 築
何これ、野営の時の建物とそっくり豆腐ハウス!
あの時オー児はデザイン抜きで褒めてたんじゃなくて、マジ褒めだったのかよ!
って事はあれか、北の山側にあったあのデカい豆腐が王城か!
あれだけ3階建てだったもんな!うわっ…この世界の建築技術、低すぎ…?
俺は転職じゃなくて転移しすぎだよこの野郎!
とりあえず走って少し落ち着いたし、オー児にクレアの所まで案内してもらおう。
「…それで貴様は戻って来たというのか。
どの面下げて戻って来たんだ?」
おっしゃる事はごもっともだウホ。
「いや、いきなり王女に会わせろって言ってもダメじゃん?
それなら問題ないように取り計らってもらえないかなと。」
何事も無かったように爽やかな笑顔でおねだりをしてみる。
ほら、町護衛鍛えたじゃないか、道中の護衛と合わせてその分って事で……ダメ?
「何か随分とムカつく顔をしているが、そもそも八女とはいえライバルとなる者に戦力など紹介するわけが無かろうが!」
なんだかちょっぴり怒ってるオー児様。
でも大丈夫!ファ〇通の攻略……じゃ無かった、大丈夫な理由があるんだ!
「いいか、この作品では重要人物にしか名前はつかないんだ。
つまりオー児としか呼ばれていないお前は重要キャラじゃないっ!」
オー児に人差し指を突き付けて核心をつく俺。
「王子王子って呼んでるかと思えばそのような理由か!
ではヤクトは何故名前で呼ばれているのだ、護衛の方にだけ名前が付くなどおかしいではないか!」
王子では無くてオー児ですけどね。オークの子供の。
「なんか後で敵対したりするんじゃな「め、滅相もございません!!!」」
あれ、敵キャラとしての立ち位置じゃないの?
最初は軽く戦ったのに、速攻戦う事拒否してるけど。
「ではそもそも貴様の名前は「いいからクレアたん紹介してくれよ。」」
「貴様も名前が「何度同じ事言わせるウホ?」」
メタネタ大人の事情カコワルイ。
重要人物じゃないとか言うなウホ。
「そもそも私にも名前ぐらいあるわっ!
クローゼ・トニー・ゴンヘン・ナダル・ダルセーターと言う名前がな!」
な、なんだってー!?
「くろーぜ・とにー・権三郎・ダルシム?」
「途中から全然違うではないか!
クローゼ・トニー・ゴンヘン・ナダル・ダルセーターだ!」
うん、今度は覚えた!
「クローゼットにゴン、変なダルダルセーター?」
「なんか王子の言い方もだが、妙に違う気がするんだが?」
それは王子じゃなくてオー児だからです。
って言うか名前長すぎるんだけど。
ひとみ婆さんネタやろうと思ったのに、これじゃあ文字数稼ぎみたいじゃないか。
スモール倉さんの心配してたらいつの間にか
なんか時空も話の流れも歪んで来た気がするからこの辺にしておくウホ。
とりあえずこの長い名前をどうにかしないと……
「というわけでクロちゃんとナダルどっちがいい?」
「なんだその2択は!そもそも西側の貴族には大半ナダルの名が入るし、東側の貴族にはクロチャンヌのが入るのだぞ?」
ダルセーターと言うのは王族、オー児は実母が西の貴族だからナダル、東の貴族はクロチャンヌらしい。
ちなみに北がイナーダで、南はホングコンとつくらしい。
なにこのブサイク芸人取り揃えたような名前。
「じゃあやっぱりオー児だな。うん。」
「私の名乗りの
……ん?まてよ?
「という事は俺のクレアたんにもブサイク芸人みたいな名前が付くのか?」
オー児の両肩を掴んで揺さぶりながら問い詰め……ようとしたのだが、秒で白目を向いて気絶してしまったので、しょうがなくヤクトさんの方を見る。
「く、クレア様は中央貴族の家系ですのでイワオの名が入っております!」
揺さぶられる前に即答、危機管理能力は高いみたいだウホ。
それにしてもやっぱりブサイク芸人の名前なのか!
……いや、マッスル男に出てきたヤツの可能性もあるのか?
オッサンネタばっかり続くとネタが通じない可能性も高いのに大丈夫か?
(多分大丈夫ではありません)
まあ番外編だからね。大丈夫だよね。
「とにかくオー児が気絶しちゃったから、ヤクトさん紹介状か何か頂戴。」
青い顔をしたヤクトさんは、腰のウエストポーチ的なカバンから取り出した小さな羊皮紙に何かを書きつけると、巻いて何かの飾り
「こ、これで話は聞いてもらえると思いますので、もうご容赦下さい。」
完全に
そんな腫れもの扱いしなくてもいいウホ。
……あれか、だんだん
これは元の世界に戻った時に馴染めなくなるフラグウホ。
ちょっと行動に気を付ける事にするウホ。
「ありがとウホ。これでクレアたんの元に行けるウホ。」
紹介状を手に入れ、場所も聞いた俺は早速クレアたんの元へと向かうのであった。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
聞いていた場所は王都で一番大きな豆腐……もとい、建物の隣にあった少し小さめの豆腐だった。
間違えた、豆腐じゃなくて家だこれ。
小さいながらも鉄柵の門があり、門番が二人いる。
そんなに強くはなさそうである。
「ここにはクレア様がいると聞いてやってきたんだけど、お話があるから取り次いでくれない?」
「その恰好、この辺りの者では無いな…冒険者か?クレア様に何用だ。」
昨晩野営した時にこちらの世界的な服に着替えております。
さすがに文化が少し違うのか、ちょっと作りが違うみたいで見抜かれてしまったようだ。
まさか異世界から来たとは思わないと思うんだけど…
「まあそんなところだな。
ところでこの手紙を見てくれ、こいつをどう思う?」
ウホっ!いい手紙ウホ!
「この
目つきが厳しくなる門番さん。
そりゃそうか、一応王位継承のライバルとなるオー児の護衛が書いたものだし、警戒するのもしょうがないのかもしれない。
「ひとまず上の者に確認いたします。
こちらでしばらくお待ちいただけますか?」
そういって門の裏から小さな椅子のようなものを出してくる門番さん。
座って待てって事なのかな?でも外で?通行人にジロジロ見られてるんだけど?
異文化って時々戸惑うよね。でも殴れば一発ウホ。
……はっ!また
現実世界で異世界だのチートだの言ってたら頭のおかしい人だから気を付けよう。
普段から心がけていないとついポロっと出ちゃうんだよね。
……そのせいで異世界ゴリラおじさんとか言われるようになっちゃったんだし。
そんな風に
──読めた!
「セバスチャン!」
「私の名前はヨハン・ゼバスティアンと申します。」
即時訂正仕事が早い!
そして
「それでクレア様に何用ですかな?」
どう見ても不審者を見る目つきです。本当にありがとうございました。
「いや、俺がクレア様の……なんだったっけ?
「それを言うなら
あれ?何か俺間違ったウホ?
「えっと…ケン〇ン搭乗ウッシッシじゃなくて……なんだったっけ?
ほら、オー児のヤクトさんみたいな護衛の事。」
慌てて説明をする俺。
さっきの意味だとオー児が送り込んだ暗殺者みたいな意味合いになっちゃう!
「【剣堅杖情の士】ですかな?
あれは高い能力と忠誠心が必要になります。
敵とは申しませんが、王位を争う相手からの紹介で受け入れるようなものではありません。」
ですよねー!
やっぱりお話がダメならO・HA・NA・SHIしかないのだろうか。
ググってももうロクに出てこないようなこのネタがまだ通じる人はいるのだろうか。
そう思いならが、
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