第100話 ワンパン
基地についてから5日目。
俺は自分に割り当てられた部屋で窓から外を見ていた。
椅子に座り雨の降る空を眺めるその姿は1枚の絵画のようで、タイトルをつけるなら雨だれだろうか。
開放的な部屋の壁は、片側が鉄格子になっていて……
どう見ても牢屋です。本当にありがとうございました。
とりあえずヴァルキューレの皆さんについて基地にやってきたのはいいものの、さすがは軍隊、規律は守らないといけないらしい。
男子禁制の入り口から入ろうとした俺はそのまま牢屋へ直行でした。
と言っても、別に犯罪者として入れられているわけではない。
むしろ俺の貞操を守るための部屋でした。
夜這いを防ぐため、牢屋を急遽改造して鍵を内側に付け替えた模様。
って普通の部屋に鍵は無いのかと疑問に思うかもしれないけど、全て4人~8人部屋で個室は上級士官専用らしい。
そんな部屋をあけろと言うわけにもいかず、ジークフリートの区画に準備が出来るまでの仮住まいで牢屋に入っている。
「お待たせしました。部屋が準備できたそうなのでご案内いたします。」
そんな説明臭い事を考えていると、やっと迎えが来たようだ。
と言うか5日ってなんだよ。時間かかり過ぎだよコンチクショウ。
案内に従って基地内を移動していると、外へ続くゲートへ連れていかれる。
中じゃ繋がってないのか、まあしょうがないよね。
「ここから先は私には入れないのですが……迎えが来ていないようですね。
まったくコレだからジークフリートの連中は……」
どうやらあまりお行儀が宜しくないようである。
……コレ絶対フラグだよね?
「このまま道なりに進めばいいんですよね?
後は1人で行くので大丈夫ですよ。」
俺は送ってくれた小隊長さんに1人で行く旨を伝えると、そのままジークフリート側へと向かう。
「あいつらは粗暴なので気を付けて!全部終わったらデートしましょうね!」
死亡フラグはやめて!
あれだ、うん、乙女の願いって事にしておこう。
後日談でデートする伏線って事で。うん。
……小隊長さんの名前も知らないけど。
女子成分が遠のいていく。
貞操の危機はそれはそれで困るけど、これから男ばっかりの所に行くのもなんだか気が進まないんですが。
正直作戦会議とか準備とかいらないから、とっとと封印といて魔王倒せばそれでいいと思うんだけど。
まあきっと組織的なしがらみとか色々あるんだろう。
民主主義とかだとその辺が遅くなっちゃうからね。しょうがないね。
正直今まで見てきた中で1番いい政治体系は、有能な善人の王が行う独裁政治だったしね。
まあそんな聖人みたいな王様なんて1人しか見てないけど。
力を持つと、やっぱり普通は調子に乗っちゃうものなんだよなあ……
「遅せぇじゃねーか、乳離れは済んだのか?」
そう、こんな英雄気取りみたいにね。
次の瞬間には腹を抑えてうずくまってるけど。
あ、追悼の意を込めて久々にむしっておこう。
ちゃんと前髪は残してね。
だいご〇ーう!
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