第99話 どもるダーク
「ふふ、あんなに強いのに。」
「可愛いわね、彼女とかいないのかしら?」
小隊長と呼ばれている女性の後ろを歩いていくと、後ろで他の隊員たちの会話が聞こえてくる。
何このモテキ、この世界強ければいいの?
「ごめんね、隊員は女性ばかりだしジークフリートはヤな奴ばかりだから……」
「あ、いや、大丈夫です。」
あるぇ?俺こんなに女性に免疫なかったっけ?
普通に接してたりしてたと思うんだけど。
見なくてもわかる、後ろからの肉食的な視線がちょっとソワソワする。
「それにしても、あなたどこから来たの?
その強さでどこにも所属してないとかスカウトは何をしていたのかしら。」
間が持たない俺を気遣ってか、話を振ってくれる。
……ちょっと答えづらいけど、この世界なら話してもいいのかもしれない。
「あ、いや、異世界から来ました。
その、魔王がいる世界にしょっちゅう呼ばれるんですよね。
しょ、正直早く家路につきたいところではあるんですが。」
俺がそう答えた瞬間、ヴァルキューレの人達がざわめきだった。
よく考えればそうだろう。
封印されているのが神か悪神かという対立の中、魔王を倒しに異世界からやってきたなんて男がどういう価値を持つのか。
「あなた、新世界より来たっていうの!?」
「まさか紀元前から伝わる英雄の歌が事実だったって事よ!」
うん、言ってる意味がわからん。
「あ、その辺の話はちょっとわかんないです。」
それはそうよね……と納得する様子のヴァルキューレの皆さん。
それよりなんかさっきから随分どもっちゃうんですけど。
冷静に自分の状態を確認すると、状態異常【軽魅了】になっていた。
……マジか。
正直俺の防御を抜ける魅了とかどこの誰がやってるんだと。
即座にヴァルキューレを疑った俺は、【看破】【鑑定】を立て続けに使う。
【生存本能】
生命の危機に瀕した際、子孫を残すため異性を魅了する。
特に強い男性に効果があり、このスキルが発動状態で性行為を行うと100%妊娠可能。
あ、はい、悪意が無いから通っちゃったんですね。
4人とも発動してたら俺のデフォルトの精神防御じゃ耐えられなかったんですね。
と言うか、女性だけの部隊とかなぜ?とか思ってたけどこういう理由か。
男女差別的な物にしては黒ずくめは半々だったし、不思議だなーって思ってたけど。
混ぜると戦力が減っちゃうからなのか。世知辛い。
産休とか言ってる場合じゃ無い職場なんだろうけど、ちょっとあんまりだ。
とりあえずこのまま拠点に行くとまずい事になるんじゃないだろうか。
拠点が区画分けだけで大丈夫と言う事は、拠点が安全でスキル効果が切れるのだろうか。
それとも結構がっつり区画分けされているのだろうか。
どっちにしろ俺の貞操が危ない。
年齢的にはパパになってもおかしくないんだろうけど、まだ帰れば大学生だからね?
ちょっと最近力業で解決できない事多くないウホ?
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