第95話 もう辛いと

 基本的にこの街は俺のいた日本に似ているようだ。

 街並みが違って感じるのは、お店の名前やロゴが微妙に違うからのようだ。


 と言うわけでやって来ましたキャンプ用品店。


 初心者ですー。

 近場のキャンプ可能な所を予算別に教えて下さいー。

 試しにテント宿泊出来る場所とかもあると嬉しいですー。

 ここに行くのに必要な道具ってどれですかー?

 全部で○○万円くらいかかるんですねー。

 お金用意してまたきまーす。


 という事で、タダで宿泊候補地の情報ゲット。

 あえて街中を避けて、山の中にしてみました。

 みんな忘れてないか?俺は忘れてたよ。


【アポーツ】・【金属精製】・【武器作成】・【武器強化】・【ロックオン】・【投てき】


 今回は伝説の金属とかじゃなくて、普通の鉄で。

 ロックオンの時点で魔王の存在を確認したので、そのまま投げてみました。



 ……当たった感覚が無い…だと!?



 もう一度ロックオンしてみると、普通に出来る。

 つまり、何らかの手段で防がれたということだ。


 え?この世界魔力無いよ?

 魔王なら自分で魔力練れてもおかしくないけど、それぐらいで防げる攻撃じゃないよ?



 ……とりあえず飯食って寝よう。

 明日また考えよう。そうしよう。

 俺は考えるのを放棄して、食欲と睡眠欲を満たすのだった。





「発射ポイントはここか?

 このアンティークなテントがカモフラージュなら、さすがにお粗末過ぎるぞ。」


 起きました。

 外に誰かいるんだけど、これ絶対魔王の関係者ですよねー。

 が素敵な夜が台無しだよコンチクショウ。


「サーモでもエコーでも、中に1人いるだけだが油断はするなよ。」


 異世界基準のテントだから、防衛機能は無いんだよね。

 ぶっちゃけ必要ないし。


 おもむろにテントから外に出ると、黒ずくめの男女が4人ほどテントを囲んでいた。

 すぐに響き渡る聞こえない音、魔力で知らせる笛のようだ。

 ってやつかな?

 これなら化学の発達した世界でも関知できないんだろう。


 …俺には関係ないけど。


「こんな所でキャンプかい?

 山ガール狙ってるなら、参道沿いがオススメだぜ?」


 じゃあるまいし、そんな女たらしに見えるのか?


「アンティークなキャンプを楽しんでいる一般人ですが、あからさまに怪しいあなた達は何者ですか?」


 事前に用意した言い訳でこの場を切り抜け――


「自分で言うのも何だが、こんな怪しい連中に囲まれているのに堂々としたものだな。」


 そう言うと黒ずくめ達は警戒心をあらわにし、ジリジリと包囲を狭めてきた。

 やっべ、ちっとも危険を感じなかったから、ろくな警戒もしてなかった。

 うん、めんどくさいウホ。


「俺は強いからな。

 お前らじゃ相手にならないウホ。」


 まで吹っ飛ばすぜ?

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