第5章 GF編
第94話 弁当で
男の娘を駅で見送った俺は、家に帰る事にした。
異世界生活長くて毎回忘れそうになるけど、確か今は大学合格して入学前の春休み期間のはず。
……浪人扱いで学生じゃないけど。
とりあえず今日は疲れたし、弁当買って帰ろうかな。
……街並みがなんか変だ。
受験でしばらく出歩かなかったからか、どこか違う街のように感じる。
何かに気づきそうになったのは弁当屋についてから。
[Lotもっと]
……パクリ?
あれ?ここ本物だったよね?
首をかしげながら中に入ると、前のお客さんが会計するところだった。
お金が違う
買い物する前で良かったかもしれない。
前の人が電子マネー決済じゃなくて良かった。
ここ、俺のいた日本じゃねぇ!
スマホを異空間倉庫から取り出す。
少し画面を見ていると、すぐに圏外表示になった。
異空間倉庫では時間が進まないため、取り出して少ししてから時刻や電波状況が更新される。
こんな街中で圏外という事はさすがにあり得ないだろう。
どうやらここは微妙に違う日本らしい。
あの男の娘の召喚に巻き込まれたと思ってたけど、彼は彼で別の異世界から来てたのか。
帰還魔法陣の座標は元いた場所になっていたから、男の娘のいた世界はここで間違っていないはず。
問題は、俺がここに来たのがイレギュラーなのかどうかだ。
男の娘と一緒に来ただけなら何の問題も無い。
問題があるとすれば、この世界に魔王がいる場合だ。
なんてこったい、これが俺の運命なのか。
さて、すぐ帰るわけにもいかないようだし。
しばらくはこの世界で様子見かな。
……まずは弁当を買うためにお金を稼がないといけないのか。
魔物を狩れば良かった剣と魔法の世界とは違って、ここでは現代日本と同じような稼ぎ方をしなければならない。
問題は戸籍も住民票も免許証も身分証明も無い事だけどね!
換金したりするのにも身分証明が必要なご時世……だよね?
少なくとも俺のいた日本じゃ必要だったし。
――やっぱりダメでした。
財布を落としたフリをして、指輪を質に入れようとしたけど、結局身分証明が無いとダメでした。
サイフ落とした帰れないって言っても、警察に行けば借りられるとか言われる始末。
そんな裏技……後で………いや、やめておこう。
住所聞かれて、地名が違ってたら怪しまれるし。
しかし、まさかこんな日本に似たところで路頭に迷う事になるとは思わなかった。
不法入国扱いじゃないんだろうか、これ。
知り合いは男の娘だけ、金も無ければ宿もない。
あるのは異空間倉庫の中身だけ。
……ひとまずタダでキャンプできる山に行ってテントでもはるか。
春で良かったと思うことにしよう。
月光浴でもしようかな。幽霊は出ないよね?
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