第85話 聖 YES
何度も言うよ、君は確かに話戻ってる。
もういいよ、この辺で。
くどくどとこの世界の神様について語られる事2時間半。
流石に食事が終わったけど、遅い時間で宿屋は絶望だそうだ。
そんなわけで、今はヅカさんとヅカママと談話室でお茶である。
このまま城に泊まれと言う事らしい。
……もう周囲の兵士は気にしない事にする。
「ところでキミの故郷の神様はどんな神様がいるんだい?」
「他所の宗教の話とか聞いて楽しいの?
俺のいた国では、宗教と政治の話は炎上するからやめておけって通説があるけど。」
いぇあ!手遅れだぜ!
「ちょっと遠くの領地ですら宗教が違うからね。
その辺は多少許容するだけの文化はあるよ。」
意外と日本に近かった!
宗教戦争とか悲劇しか生まないからね。しょうがないね。
「宗教と言うか神話の話とかの方が面白いよ。
……う、海を割ったり?」
やばい、地球の神話ってちょっとすごい魔法使いレベルの話か、変態話しか無いぞ?
「……それはすごい魔法使いだと思うけど、それが神話なのかい?」
やっぱり突っ込まれたー!
大体魔法があって魔物がいる世界で奇跡とか悪魔とか言っても、珍しい魔法だとか珍しい魔物だとかで終わっちゃうんですけど。
「わ、脇から生まれたとか。」
「それ、魔物の話じゃなくて?」
うわーん!悟りの人を馬鹿にするなー!
日本人にはなじみ深い人なんだぞー!!
「不老長寿の神がブスだったから追い返したせいで寿命が出来たとか?」
「なんだいその話、ずいぶんとひどい話じゃないか。」
ですよねー!
俺もそう思う。
「あ、後は……敵の街の前にでっかい木馬を置いて退却、戦利品として街の中に運ばれた後に、木馬の中から兵士が出てきて城門を開けて勝利したとか。」
「斬新なアイデアだけど、その場で燃やされるかもしれない木馬を作るより、その丸太で破城槌を作る方がいいような気が……」
「いや、城壁の上から弓で狙われる事を考えると被害が少ないんじゃないかな?
街の中に運ばれればの話ではあるけど。」
ぶっちゃけ持ち帰った方がバカだよねー
普通得体のしれないものがあるって警戒するよねー
「なんだか聞いてるとキミの方がよっぽどすごい事が出来そうなんだけど、キミの伝説はどんなのがあるんだい?」
くっ!ニヤニヤしやがって!
確かに今じゃ俺は大半の力技なら出来るけどさ……
「よし、じゃあ俺の伝説を語ろうじゃないか!」
も う め ん ど く さ い
こうして今までやってきた事を当たり障りの無い範囲でヅカさん達に冒険譚として話して聞かせた。
魔物を割ったり、城を割ったり、地面を割ったり、海を割ったり、時々まったり。
魔物を砕き、大木を砕き、大岩を砕き、城を砕き、玉を砕き。
髪むしったり、身ぐるみむしったり、ヒゲむしったり、温泉で蒸し鶏。
結構面白がって聞いてくれたけど、多分半分くらいは信じていない気がする。
……顔が引きつっていたのは、信じたくないとかいうオチじゃないよね?
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