閑話14 勇者と修羅場
僕は今、2つの意味で危険を感じていた。
幼女に手を引かれてのこのこと付いてきたロリコンにしか見えないだろう僕。
そして、目の前にいる露出狂としか思えない男。
これはどっちが先に捕まるんだろうか……とか考えていると、女性の悲鳴が!
慌てて幼女にここにいるように言い聞かせると、悲鳴が聞こえてきた方向に……
ってこの孤児院の庭に続く道の方じゃないか!
子供たちが何かに巻き込まれた!?
──と、思ったら露出狂の男を見て悲鳴を上げた世話役らしき女性がいた。
さっきの悲鳴はこの人かな?
そして、原因は目の前に転がってる露出狂なんだろう。
「この変質者め!子供たちに何をする気だ!」
露出狂の男を取り押さえると、意外とすんなり捕まえられた。
おそらくは荒事の経験のない一般人なんだと思う。
この世界では鍛えれば鍛えただけ強くなるし、魔物を倒せばレベルも上がる。
強くなるのは簡単なんだけど、ここまで弱いのも珍しいなあ。
「意外と強いわね。将来有望かしら?」
「師匠の方が素敵じゃない?」
「あんたもう1年前の恋なんて忘れて、そろそろ次を探しなさいよ。」
子供とは思えない会話ですね。
女の子は小さいうちから女性なんだなあ……
「あれは美少年攻めかしら。」
「院長先生をあきらめて受けになるとか、ちょっとやけくそ過ぎないかしら?」
なんか別の子がもっと子供とは思えない会話をしてるけど、僕にはわからないや。
そんな……僕は女の子じゃないから……
「何か様子がへんじゃない?」
「あら?経験者かしら?」
「やめなさいよ、ちょっと嫌な思い出っぽいじゃないの。」
気が付くと僕は女性の胸に抱かれて、頭を撫でられていた。
優しいぬくもりと、気遣うような手。
僕は完全に気を抜いていた。
その瞬間飛んできた殺気に僕は思わず反応してしまい、殺気の元である男を組み伏せていた。
……あれ?この人さっきの露出狂じゃない?
腕を掴んで組み伏せたはずなのに、なぜか破れるズボンのお尻部分。
これワザと破れやすくしてない?
慌てて止めに入った女性からこの男が変質者じゃない事を聞くと、僕は平謝りした。
でも殺気を飛ばす方が悪いよね。
そして僕もここに訪れた事情を説明すると、女性は孤児院の庭に案内してくれた。
そこにはデコボコな地面に高さの全然違う杭を飛び跳ねる、猿のような子供たちがいたのだった。
これはあの市場でも動けるようになるわけだ。
……まさかあの変質者が師匠なんだろうか?
無いね。うん。弱かったし。すぐ服脱げるし。
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