第74話 あぶないネタ
金貨10枚を手に入れた俺は小腹が空いたので、食べ物の屋台を探していた。
「そう言えばこの辺に話題のグルメがあるらしいよ。」
ヅカさんからグルメ情報を得た俺は、早速その屋台を探してみた。
《ケンタ》
……え?
ちょっと待って欲しい。
頭がミノタウロス、つまり牛の動物がミノタって事は、半人半馬のケンタウロスの頭をした動物がケンタと言う流れじゃなかろうか。
でも、ケンタウロスは上半身が人の生物である。
つまり、普通に考えると――
「ねえ、これ人肉だったりはしないよね?」
「馬肉だとしても、ウロスだとミノタウロスと区別付かないからじゃないかな?」
まあ、確かにそうかもしれない。
流石に人肉を屋台で出してたりとかするような世界だったら、魔王倒してすぐ帰るぞ。
しかし、屋台にあるメニューは《むね》や《もも》だ。
近くでは『ムネの大きいのが正義だ!』とか、『モモの方が柔らかくていいだろ!』とか言っている。
……屋台の話だよな?
基本的に四つ足の動物は重い体重を支え続ける関係上、モモ肉は硬いと相場が決まっている。
……本当に人じゃ無いんだろうな?
近付くと屋台からは揚げ物の臭いがする。
香ばしいスパイスを使ってるのか、比較的いい匂いだ。
「さあさあいらっしゃい!
勇者が再現した異世界の料理だよ!」
……ん?
異世界の料理で揚げ物、名前はケンタ。
黄金色にカラッと揚がったその肉は、鶏肉のように見え―――
ってケン○ッキーフラ○ドチキンじゃねーか!!!!
って言うか俺関西人じゃないからケンタなんて言わないし!
どっちかというとケ○チキ派だし!
何だよマクドって!マッ○シェイクをマクドシェイクなんて言わないだろ!
「…な、なんか沢山の人に喧嘩売ってるオーラが目に見えるレベルで出てるんだけど、大丈夫?」
うん、多分大丈夫じゃない。
まず関西人はきっとオチが先に見えてた。
その上で軽く喧嘩売ってた。ごめんなさい。
で、でもソバは薄いつゆだからいいよね?ね?
と、とにかく再現されたチキンを味わおうじゃないか!
「おっちゃん!手羽とモモを1ピースずつちょうだい!」
誤魔化すように、油の前で次々とチキンを揚げているおっちゃんに注文する。
「てば?ぴーす?
腿を2個でいいのかい?」
おうふ、看板通り胸と腿しか無いのか。
しょうがない。モモでもそれなりに肉が付いてるし、モモにしよう。
「あ、ああ。それでいいよ。」
おっちゃんは油をきっていたチキンを手早く葉っぱのような物でつかむと、持つ部分に巻き付けて渡してきた。
ちょっとだけクリスマスのチキンっぽいのは、コレを教えた勇者が日本人だったからかもしれない。
欧米だとクリスマスにはチキンじゃないしね。
片方をヅカさんに渡し、思いっきりかぶりつく。
……味付けケンタじゃなくてメンタ(イコ)じゃねーか!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます