第73話 作ーる☆ウォール
ここは失敗するわけにはいかない!
参加料が1回銀貨1枚とかいうチャレンジに参加しようと金貨出したら、お釣りじゃなくて10倍チャレンジとかいうのに参加させられている。
こんな理不尽は許せない!
というわけで周囲の観客に両手を上げて答えながら、ろうそくにかかっている魔術を調べてみる。
……あれ?コレ、ろうそく自体にはなんの魔法もかかってないぞ?
この炎、実物の火に重ねた幻?
試供品代わりに使うろうそくを、この店員がケチっているだけかもしれない。
とにかく横で売っているのは普通のろうそくである。
これ売った後は逃げるパターンなのだろうか。
まあいい、仕組みはわかった。
例え水や風で消したとしても、幻術の炎が残っているうちに魔法で火をつけなおせばいい。
そういう事なら俺がやるやり方は1つ!
「消し飛ばすのは無しにしてあげてね。」
ヅカさん最近エスパーになられましたか!?
ろうそくごと殴って消し飛ばせば問題は無いけど、これはあくまでろうそくを売る詐欺を懲らしめるのが目的だ。
既に買っている人も返品するように仕向けるには、その物理的な消し方ではダメなのだ。
「いくよー!」
俺はろうそくの周りを壁で囲んだ。
上下左右に前後全て土の壁で囲み、土の箱を作り出した。
もちろん、ろうそくは見えない。
ここで重要な事は、酸素不足で火を消す事ではなく、店主の視界からろうそくを消すことにある。
こっそり囲んでいる箱をずらし、ろうそくの位置を地味に動かす。
ついでに店主も壁で囲ってあげよう。
「うえ!?ちょっと!どうなってんのコレ!」
パニックを起こす店主をよそに、元のろうそくの位置に同じように壁を作る。
ろうそくの火がまだついていたので、箱の中を水で埋めて消してしまうと、店主の壁を解除してあげた。
店主の前には中身が空の土の箱。
俺は箱を崩すと、そこにはろうそくの炎だけが!
「あれれ~?おかしいなー、炎だけ浮いてるよ?」
俺がどこぞの死神のように殺人現場に遭遇する少年のように言うと、みんながそこに浮く炎に注目した。
店主が慌てて炎の幻覚を消すと、同時にろうそくの入っている方の土の箱を消す。
中にはもちろん火の消えたろうそくが。
「え、あれ魔法か何かだったのか?」
「普通に炎消えてんじゃん!」
「まさか今までインチキしてたんじゃね?」
まわりで見ているだけだった人達が、徐々に騒ぎ出した。
流石に今までの消えないろうそくが、実は魔法によるトリックだと気づいたのだろう。
というか、なぜ今まで気づかなかったし!!!
「う、うるさい!俺を壁で囲ってそのすきにみんなをだますつもりだろう!」
お ま え が い う な
俺は笑顔でろうそくだけを殴って消し飛ばした。
「消したよ?10倍チャレンジなら金貨10枚でしょ?」
こうして無事に、俺は金貨10枚を手に入れた。
そのあとちゃんと通報もした。
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