第65話 残念B級一発全滅

「ねえ、なんでこの街こんなにモヒカンがうじゃうじゃいんの?」


 半分以上あきれた声でぼやく俺に、ヅカさんは首をかしげながら答えてくれた。


「なんだか昔、この辺に異世界から勇者が来たんだけどね。

 その勇者があんな髪型で、汚い連中は浄化だって悪人を退治してたの。

 そして勇者をリスペクトした青年達が同じような活動を始めたらしいんだけど……」


 どうやら悪人を退治する集団が、今こちらを狙っている理由がわからないようだ。

 うん、俺にもわからん。


「ちなみにあの髪型の名前はモヒカンじゃなくて世紀末ヘッドって言うらしいよ?」


 ヅカさん、それ以上はいけない!

 と、とにかく正義の団体だと言うのなら、とりあえず話をしてみようじゃないか。


「てめぇ俺らの仲間に何してんだコラ!」


 おう、見た目通り結構なオラオラ系兄ちゃんじゃないか。

 とにかく話を聞いてもらえれば……


「そこの男女が貴族だかなんだか知らないが、俺らに手を出してタダで済むと思うなよ?」


「いや、先に喧嘩売ってきたのはそっち──」


「ごちゃごちゃうるせえ!言い訳すんなぶっ殺すぞ!

 この人数みてビビってんのかコラ!」



 あ、これもうダメなパターンだ。



 も う め ん ど く さ い



 では気を取り直して必殺技再現コーナー!イエー!

 若干テンションがおかしな事になってる気がするけど、さっそくいってみよう!


 喋ってたモヒカンへ向かってしゃがみながら近づくと、立ち上がる勢いを乗せて足を円を描くように蹴る!


「じぇの〇いどかったー!」


 一撃で倒れる喋ってたモヒカンことモヒカンB。

 続いて横のモヒカンCを見ると、肘を突き出し滑るように体当たりをする。


「ざん〇ーけん!」


 いいねいいね!手加減してるけど楽しくなってきたぜ!

 次はヅカさんの後ろに回り込もうとしているモヒカンDだ!

 両手首をくっつけて手のひらを開き、腰の所から突き出す!


「は〇ーけん!」


 衝撃波がモヒカンDを吹き飛ばしたのを確認すると、後ろに近づいてきているモヒカンEとFに向かって回し蹴りしながら回転移動!


「たつまき〇んぷーきゃく!」


 着地してしゃがみ込むと、そのままモヒカンGに向かって飛び蹴り。

 当たると同時に逆の足を隣にいるモヒカンHの頭へ。


「ひ〇ん!しっ〇ーきゃく!」


 おっと、モヒカンI・J・K・Lが固まってヅカさんを襲おうとしているぞ?

 これはアレを使わざるを得ない!


「は〇ー!しょー〇ーけん!」


 クロスガードのような恰好から両手を腰に、は〇ーけんと同じような恰好で出したその技はさっきの何倍もの衝撃波でモヒカン達を吹き飛ばす。


 これで最初のモヒカンAもあわせて12人、残りは面倒だからサクッといくぜ!


「まねっ〇ぶー!ちょうひっ〇つしの〇ばち!さいこ〇らっしゃー!

 た〇がー〇ずーかじゃ!しょー〇ゅーけん!〇ずおとし!」


 次々と試したい技を繰り出し、合計26人をぶちのめす。

 ちょうどZまでそろってるのは流石だな!


 そう思いながら、倒れたモヒカン達の真ん中で達成感に浸っていた。



「一見達成感に浸ってるけど、なんかやっちゃった感と言うか後悔と言うか……

 とにかく大丈夫なんだろうかって不安感が顔に出てるよ?」



 ヅカさんうるさい。わかってるよ。やりすぎたってさ。

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