第60話 散々、のちの純情な彼女

「これほど君を愛してもさ──」


 とりあえず色んな意味で危ないので殴って黙らせた。


「……やっぱりコレと結婚するのはちょっと嫌かも。」


 あれほど男前だったヅカさんを、躊躇ちゅうちょさせるぐらいに酷いエロハプ。

 この領地、血が途絶えるんじゃなかろうか。


「じゃあ結婚しない方針で行くとして、問題は悪評や正当な理由だな。」


 結婚しないならしないで、悪く言われるのは女性側だったりする。

 特に封建的な制度の世界だとなおさらだ。


 2.婚約破棄の理由と悪評封じ


「もう面倒くさいからコイツ行方不明にしたら良いんじゃないかな。」


 考えるのが面倒で少しゴリってきた俺を見て、エロハプはこの世の終わりのような表情でガタガタと震えていた。

 まあ、おバカなだけで行方不明は流石にかわいそうか。

 殺されないだけマシなんて感覚は多分おかしいんだろうな。


「さ、流石にそこまではちょっとかわいそうかな。」


 ヅカさんがこう言うんだから仕方ない。

 しょうがないね。しょうがない。

 しばらくゴリって無いように感じたけど、幼女趣味団を潰したのはおとといだったからね。

 まだ大丈夫。


「じゃあコイツに悪評を流すウホ?」


「「ウホ?」」


 ハモるヅカさんと院長。

 いけないいけない、ゴリってしまっては全て台無しになるかもしれない。


「顔をボコボコにして、姉弟で顔がそっくりだと噂を流すとか。

 何故か脱げるハプニングが多いし、露出狂の噂でも十分かも。」


 俺の発言に、簀巻きにされたままガタガタと震えるエロハプ。

 責任はちゃんと取りなさい。

 それにどっちも噓は言ってないしね。顔は殴る必要があるけど。


「ま、まあ院長さんが結婚するなら、孤児院のために身を引いたとか美談に出来なくも無いよ。」

「え?お断りします。」


 ヅカさんが代案を出した瞬間勢いよく跳ねてアピールしたエロハプだが、院長が即答でお断りした瞬間、死んだ魚のようになった。

 簀巻きで転がってるのは変わらないのに、無駄に表現力あるな。


「もう面倒になってきたから、悪く言うやつはこっそりお仕置きの方向でもいいよ?ね?」


 5.リる(ゴリる)


 3も4も無いけど気にしない。

 そうだよ、俺は面倒くさいから脳筋になるって決めたじゃないか。


「一応は1度夫になると思った人間なんだ、あまり酷いことはしない方向でいいかな?」


「了解でぇーっす。」


「なんか腹立つな、その言い方。」


 チャラ男はお気に召さないようで。

 とりあえずは脳筋の仕事は終わり!

 後は2人に任せて子供達の様子を見てこよう。



 そんな俺が庭で見た物は、もはや簡単に杭の上を飛び回る子供達の姿だった。

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