第59話 愛のままにわがままに僕は君だけを許せない
「なるほど、2人は婚約者だったというわけか。」
とりあえず魔法まで使って事態を沈静化させ、エロハプは簀巻きにして転がしてある。
「……なんでボクが簀巻きにされているんだ?」
そんなのエロハプ起こすからに決まってるだろうが。
真面目な話をしている最中に露出されたら話が進まないし。
「それにしても簀巻きは酷すぎると思うんだけど……」
堂々とケツの穴をお披露目した人に拒否権はありません。
「……私が女だという事に驚かないんだな。」
ついでにヅカさんが自分は女だと告白したのだが、ぶっちゃけ今更である。
「骨格的に女性の骨格だったからな。
身なりがいいとは思ってたけど、貴族だとは思ってなかったぞ。」
ヅカさんはナキクの領主の娘であるが、兄が2人いるため領地を継ぐ事は無い。
そのため、この街の領主の息子の婚約者になったという事だが……
領主の息子ってエロハプが領主の息子かよ!
エロハプには姉がいるが、男は自分一人のため、継ぐ事はほぼ確定らしい。
……ひょっとして、このどうしようもないエロハプの代わりにされるところだったんだろうか?
娘と結婚ってそういう意味もあるよね?
「いや、それは単に姉の顔が言葉にできないぐらい酷いからだと思う。」
俺が姉を押し付けられそうになった事を知らなかったエロハプは、驚きながらも冷静に答えた。
いや、普通に言ってる事酷いからね?
そして隅っこでホッとしてる院長さん、エロハプがまた暴れ出すからやめて下さい。
「とにかくそこのバカに結婚する気が無い理由を調べに来たんだけど、分かりやすすぎて何と言ったらいいか……」
短絡的にしか見えないエロハプの事だ、院長と結婚したいから婚約破棄とか言ってる気がする。
って婚約破棄された貴族令嬢がどんな扱いを受けるのか、このエロハプ絶対考えて無いだろ。
かといってここまでされて今更『やっぱ結婚します』なんて無理だろうし。
「いや、貴族の結婚なんだからそれくらいは我慢するさ。」
ヅカさんマジカッコいい!!
俺なら絶対許さず切り落とす。……何をかは聞くな、いいね?
「エロハプもこれくらい男らしければ院長を第二婦人とかにできたかもしれないのにな。」
「こんな格好しておいて何だが、女性に男らしいは誉め言葉にならないぞ?」
結論:エロハプが最低
とにかく、今後どうしたらいいのかをみんなで話し合う事に。
……もちろんエロハプの意見は認めない。
「こういう時は問題を分解して、選択肢を作れば意外と何とかなる。」
1.結論として結婚するのかしないのか
これに関してはヅカさんは我慢できるとの事だが、エロハプが今こそチャンスとばかりに院長に愛の告白をしている。
……簀巻きで『愛してる』とか『君だけだ』とか頭いかれてるにも程があるな。
逆効果にしかならないだろうに。
「うるさい!依頼料払わないぞ!」
あ、忘れてた。
一応は仕事の最中だったんだった。
「それについては、結果がどうなろうと私が代わりに支払うと約束する。
ついでに帰りの護衛料も足しておくから、よろしく頼む。」
秘密(?)を知ったわけだから、知らない護衛を雇うよりマシだろう。
来た時はそのまま南の駐屯地に向かう軍に同行したとか。
あのオッサンズ元気してるかな……
ちょっぴり切なくなりながらも、まだまだ話し合いは続くのであった。
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