第58話 既知との遭遇
女?と共に孤児院へ向かう。
いつまでも女?扱いは酷い気がするけど、名前聞いてないからね。しょうがないね。
「ただいまー。」
もはや我が家気分である。
とりあえずエロハプはもう帰っ──まだいるし。
俺の声を聞いて即座に睨みだすのはどうかとおも──
「「ああああああああ!!!」」
俺を睨もうとしたエロハプの目線が、俺の横にいた女?に移ると2人がハモって叫び出した。
「貴様なんでここにいる!!」
「貴様こそ!ここに何をしに来た!」
どうやら2人はお知り合いのもよう。
とりあえずここはお若い2人に任せて……
「どこへ行くんだ?」
お見合いのおばちゃんのように逃げ出そうとしたのだが、即座に女?に腕を掴まれる。
エロハプも俺を逃がすつもりは無いようで、逆側の腕を掴んでいる。
「いやあ、2人はお知り合いのようだし、積もる話もあるだろうから邪魔しちゃダメカナーッテ。」
若干棒読みになりつつも、無駄と思いながらも言い訳をしてみる。
「一角ホエールの話には割って入ったのにか?」
「まだ一角ホエールを生で食ってるのか、この野蛮人め。」
おっと、エロハプくんずいぶんと喧嘩腰だけど、今の発言は俺にも喧嘩を売っているとみなすぞ?
ちょっぴり殺気が漏れたのかエロハプはびっくりして後ずさり、転んだと同時に大開脚。
ビリッという音とともにズボンが裂けた。
……ちなみに下着は着替えていなかったため、今朝ボロボロになったままだったりする。
「きゃああああああああああああ!!!!!!!」
いきなり転んでケツの穴だけを起用に露出するエロハプに、女?は悲鳴を上げて蹴りを入れる。
やっぱり女だろ、こいつ。
ヅカさんと呼ぶことにしよう。某歌劇団的な由来で。
そんなヅカさんの蹴りを受けたエロハプは、そのまま後ろにゴロゴロと転がっていき──
「な、何があった──」
料理中だったのか手に包丁を持ったままの院長へ、その……うん。強く生きろ。
思わず包丁を向けた院長の背後にまわり、エロハプが刺される前に取り押さえる。
背後から包丁を持った方の手首を掴み、お腹へ逆の手を回している俺。
ひっくり返った状態で、股の間からこっちを睨むエロハプ。
いや、睨んでる暇があるなら起きて身なりを整えろこの野郎!
現在進行形で命の恩人である俺を睨むとは何事だ!!
と言うかビビッて転んだくせに起き上がる前に睨むとか、ある意味勇者だなこいつ。
「はぁ、こいつがいるといつもこうだよ……」
昔エロハプに巻き込まれた事があったのだろうか、右手で顔を覆いながら溜息をつくヅカさんであった。
いつもコレとかずいぶんと苦労してきたのですね。ヅカさんに同情するよ。
そう思いながらとりあえず院長を引きずって場を収めるのであった。
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