第56話 身分上々↑

 あらすじ

 身なりのいい兄ちゃん改め、エロハプは孤児院の院長ラブっぽい。


 なんて現実逃避は何度目だろうか。

 正直脳筋の俺には面倒くさいです。


 今回の依頼といい、きっかけを作りたかったんだね。

 普通に近づこうとすると、エロハプニング体質に邪魔されちゃうんですね。わかります。


 うん、気付かなかったことにしよう。


「さ、さて、俺がお手本を見せてやろう。」


 超強引な話題変更!

 青春スルーしたコミュ力が頼りない!

 とにかく作ったアトラクションを流れるようにクリア。

 ちゃんと無理な挙動は控えて、子供でも出来るような移動でクリアしてやったぜ!


「凄いです…」


 あ、院長の目がなんか違う。

 そしてエロハプの目も別の意味で違う。

 完全に判断を間違えたでごじゃる!


「と、とにかく昼ごはんも出来たし、休憩だ休憩!」


 昼ごはんを作ったことを思い出し、慌てて逃げるように孤児院の中へ入っていく。


「照れてる…カワイイ。」

「あの人結構優良物件よね。」

「ご飯も美味しいし、強くて頼れるよね。」


「「「お金持ってるだけで、いつも半裸になる人とは大違いよねー!」」」


 おい、お前らまだ年齢1桁だろ!

 ませすぎだぞコンチクショウ!


 恥ずかしくて逃げる俺とは違う意味で、顔を真っ赤にする院長とエロハプ。

 エロハプにいたっては既に赤黒いです。

 血管切れるよ?



 昼ごはんの配膳をとっとと済ませ、腹ペコ怪獣を捌き、みんな集まったら食べ始める。

 よし、お腹いっぱいでどうでも良くなった!

 さっさと片付けまで済ませた後は、生活の合間に訓練を続けるように指示。

 ほとぼりが冷めるまでは自主訓練と言うことで。


 逃げるが勝ちだね!面倒くさいし!



 忘れかけてたけど、無事に海鮮類は買えたわけで。

 グルメ情報をどっかで集めないとなあ……


 ブラブラと街を歩く。

 青い空と白い雲、白い街並みと遠くに見える青い海のコントラストが綺麗で気持ちいい。

 領主の館のデザインもここの風土から来ていたのか、街並みはシンプルでありながら洗練されたものだ。

 塗料とかは潮風ですぐにダメになるのかも知れない。


 そんな散歩の途中、立ち寄った雑貨屋にその男はいた。

 見た目は身なりのいい兄ちゃん……エロハプと混同しそうだな。

 アレよりは甘いタイプのイケメンで、中性的な感じ……ってアレ?

 ……骨格が女なんだけど。

 その女?が店主らしきオッサンと話していたのは、何やらクジラの置物についてのようだ。


「だからコイツ美味いんだって!」


 ガタッ!


 グルメに飢えたゴリラがアップを始めました。


「一角ホエールを食うなんてとんでもねえ!

 あいつら頭いいんだぞ?」


 何その不思議な理論。

 女?の方を改めて観察すると、それなりにいい材質の洋服にてんこ盛りの魔法的防御。

 良い物を食べたという話に信憑性がある!

 それにしてもこの街身なりのいい人多いな。

 そうじゃ無い人もいるけど。

 とにかく話を聞かせてもらわねば!


「その話聞かせてもらおうか!」


 ……出だし間違えたかなコレ。

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