閑話10 姫賛歌(ちょっとだけメタネタ)
この方はとある街の領主の娘
のばらも見劣りするよ領主の娘
よるに見れば言葉を失い
にわかに信じられないその容姿
あいをささやけば鳥も歌を忘れ
りせいを忘れる男が溢れ
えがおは記憶に焼き付き焦がれ
なみだは見るものも共に泣く
いきているだけで喜びを感じ
ほほえみは目が潰れるほどで
どう伝えようか姫賛歌
くだもの好きで野菜嫌いで
ずっとひとりで育ってきて
れんあいを知らず生きていく
ただ領主の娘として
かべを守る英雄も
おそろしい敵を討つ英雄も
のぞまぬ恋に遠慮する
お城の中で産まれた姫は
ひとり未来を夢見て眠る
めが覚めたその時に
さらってくれる騎士を望んで
まるで嘘みたいな姫惨禍
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「師匠、これ最後の文字間違ってますよ?」
「……いや、それでいいんだ。気づかなかったことにしておけ。」
師弟関係なのだろう、中年と少年の二人の吟遊詩人は薄暗い酒場でエールとジュースを前に座っていた。
「いいか、まっとうな作詞以外にこういう作詞の方法もあるって事だ。
悪意を持って読めば悪口に、善意を持って読めば賛美になる言葉遊びってやつだな。」
「あ、言われてみれば確かに!
へぇ~、でもどうやって見分けるんですか?こういうの。」
簡単に質問してくる弟子に、少しばかりため息を漏らす師匠。
やはり自分で考えさせるというのも大事なのかもしれないと思う。
「タイトルや文章の頭文字に、不自然に漢字が無ければ縦読みを疑え。
ちゃんと最近のタイトルとかも見返して来い。」
ほぼ答えのようなヒントを与えると、弟子は早速気付いたのか驚いたり感心したりと表情をコロコロと変えていた。
その反応を眺めながら、師匠はにやりと満足げに微笑むのだった。
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