第51話 ダメだこいつら

 今まさに衛兵に連れて行かれそうになった時、救世主が現れた。


「そいつは曲がり角から飛び出したその子を助けただけだよ!」


 どうやら見ていた人がいたらしい。

 多少雰囲気が胡散臭い所なんて関係ない!

 この男の証言で、俺は無事に解放されたのだった。


 ちなみに羽交い締めにしようとしたおばちゃんは、俺に謝りもせず『フンッ!紛らわしいのが悪いんだ!』と捨て台詞を残して去って……行こうとしたので捕まえた。

 やられたらやり返す、ゴリラの流儀で。


 そっと態勢を崩し、ひざ裏に足を添えたりしてコントロール。

 おばちゃんは正座の態勢になったので、頭を押しつけ謝罪の格好にする。


「悪いことしたらごめんなさいだろ?」


 幼女の教育的にも必要だもんね。

 ちゃんと謝れない人はダメだよ。うん。


「アンタが疑わしい事するから――「悪いことしたらごめんなさいだろ?」」


 言い逃れを続けようとしているので、力を少し込めて繰り返す。


「衛兵さん!助け――「悪いことしたらごめんなさいだろ?」」


 徐々に感情が抜け落ちていく俺の声と、徐々に強くなる頭を抑える力。

 その内怯えだしたおばちゃんは、震える声でごめんなさいと呟いた。

 ここで「聞こえないんだけど?」って言うのも良いけど、幼女が怖がってるからね。

 おばちゃんを解放すると走り去っていった。

 なんだ、まだ余裕あったんじゃないか。


 幼女も壺を抱えてそのまま帰って行った。

 衛兵も解散してるし、後はさっき証言してくれた男の人にお礼を言っておかないと。


「先程は助かりました、ありがとうございました。」


「いやいや、同士を救うのは当たり前のことですよ。」




 ――は?



「我々幼女趣味団も最近は活動しづらくて困っています。

 ぜひ先程の【曲がり角で合法的に幼女を抱きとめる技】を教えていただきたいですな。」



 いや、スキルじゃないからそれ。

 なんだよこれ、仲間と思われて助けられたと言うのか……


 いや、元々こいつらがいなければ疑われることもなかったわけで。

 逆に迷惑料的な物を払って貰おうじゃないか。


「同士が集まる場所とかはありますか?

 そこに案内していただければ……」


 俺がそう言うと、そのロリコンは嬉々としてたまり場を案内してくれた。

 そこには沢山の男男男女男……って女も混じってるのかよ!


 その場にいる人を即座に魔法のロープで拘束する。


「なっ!?我々にその趣味は無いぞ!」

「幼女様を愛でるだけだ!緊縛に興味は無い!」

「そうだ!縛る方が好きだぞ!」


 誰だ最後の。救いようがないぞ。

 まあ、「案内していただければ……(一網打尽にします。)」だったからね。

 噓はついていない。うん。


 魔法のロープのままだと都合が悪いので、異空間倉庫から普通の縄を出してロリコンどもを縛り上げる。

 そのまま衛兵に突き出すと、いくらかのお金になった。


 疲れたから、今日は切り上げて宿屋に泊まろう。

 世の中にはいろんな人がいるんだなあ……

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