第50話 んなアホな!
激しい攻防戦の上、無事に娘をお断りして街に出た。
貰った金銭でしばらくは宿屋に泊まれるはず。
まずはこの街のグルメ情報から集めないとね。
人に聞くのもいいけど、フラフラと街を歩いてみる。
屋台の商品とかで大まかな傾向はつかめそうだし。
というわけで、早速屋台で串焼き肉を買ってみる。
バーベキューサイズの串焼き肉を頬張ると、胡椒がピリリときいていた。
屋台で胡椒を使っていると言うことは、この辺では香辛料もそんなに高くはないのかも知れない。
食べ終えた串を返すと、他の屋台へと向かう。
パンケーキのような物、フルーツジュースと屋台のはしごをした。
パンケーキには砂糖も使われていたし、バターにメープルシロップらしき物もかかっていた。
ジュースからも同じ風味がしたので、このシロップはこの辺で取れるのかもしれない。
売ってれば買ってみようかなと、ある程度満腹になったお腹をさすりながら観光を続ける。
建物の角を曲がろうとした時、気配を感じてとっさに受け止める。
それは角から飛び出した幼女だった。
幼女は壺を抱えて走っていたようで、ぶつかっていれば危うく壺を割るところだっただろう。
「おじちゃんありがとう!」
おじっ!?
……ま、まあしょうがない。
おそらく8歳くらいの彼女からすると20代はおじちゃんなんだろう。
個人的には20代はおじちゃんじゃないと思うけど、幼女的にはそうなんだろう。
仕方ないね。……ちくしょう。
「気を付けないと危ないからね。
ちゃんと曲がるときは気を付けるんだよ。」
そう言いながら幼女の頭をなでると、急に後から羽交い締めにされそうになった。
もちろん回避して幼女を守るように警戒すると、襲ってきたのはどう見てもその辺のおばちゃんである。
おばちゃんに良い思い出がないため、なおさら警戒度を上げるが、おばちゃんの言葉でそれは霧散した。
「あんたも幼女趣味団のやつかい!?
この街にあんたらの居場所は無いよ!」
なんだその凶悪犯罪団体は!
名前からしてアウトじゃないか!
と言うか、そんな名前で恥ずかしくないのだろうか。
そんな事を考えていた一瞬で、既に衛兵らしき武装集団が俺を取り囲んでいた。
えー!?また犯罪者扱いなの!?
「貴様には幼女趣味団の一員である疑惑がかけられている。
大人しく付いてきて貰おうか。」
「誤解なので証明できるならついて行きますが、この場でこの子に証言して貰うわけにはいかないのですか?」
俺がそう言っても衛兵達は警戒を緩めず、こう言い放った。
「貴様がこの子を脅している可能性もある。それは認められない。」
え、それどうやって潔白証明すんの?
嫌な予感がジワジワと現実味を帯びていくのだった。
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