閑話7 勇者と神器

 今の傭兵団に入って1週間、[筋肉の宴]のみんなは凄く良くしてくれています。

 ボクが疲れていないか気にかけてくれたり、疲れると背負ってくれたり、マッサージをしてくれたりします。

 背負ってくれた時に、「背中に膨らみが…膨らみは?」とか呟いてたけど、何の事だろう?

 胸ポケットに何か入れてたっけ?


 とにかく山に行って魔物と戦い、近くの村に行っては魔物と戦い、みんなと訓練しては魔物と戦い、中々ハードな毎日です。

 巻き込まれたお兄さんを1日でも早く元の世界に帰すためにも、一生懸命頑張らなくっちゃ!



 そうやって頑張っていると、久々にお姫様から呼び出された。

 何やらボク達が召喚された数日後くらいに、神器を道具屋に売った人がいたらしい。

 まさに召喚のタイミングに合わせた神の使いだと言われているんだって。

 いくつかは既に売れてしまったけど、2セットは確保したとか。


「勇者様ごきげんよう。

 活躍は話に聞いてます。とても頑張っているようですね。

 今日は手に入った神器を授けます。

 ここに!」


 お姫様が手を叩いて合図をすると、メイドさんが持ってきたのは大きなマッチみたいな物と水筒だった。

 それを手に取って見てみると、本当にマッチと水筒だった。

 水筒は良くわからないけど、水がなみなみ入ってて、飲んでも無くならないんだって。

 マッチは何度つけても燃え尽きないみたいで、マッチ型のライターみたい。


「これは便利ですね。ありがとうございます!」


「これは炎や水を周囲の魔力で生み出すという、今の世界には存在しないまさに神器なのです。

 ぜひ活用してください!」


 マッチはライターとかないこの世界じゃ貴重な物なのかも。

 大切に使わせてもらおう。



 こうして[筋肉の宴]のみんなとキャンプする時に便利なものをもらった。

 神器ってみんな言うけど、地球感覚だとなんだかそんな貴重品に思えないんだけどな…

 お兄さんなら多分ボクと同じで貴重品に思えなかったりするのかな?


「おう、嬢ちゃん。見張りの時間だぜ。」


 ボクも見張りを頑張りたいと言ったら、見張り番に入れてくれた。

 前は1人が交代で見張りしてたけど、今は二人ずつの見張りになったみたいだ。

 ボクと一緒に見張る役割をジャンケンで押し付けあってるのは、ボクがまだ未熟だからなのかな……

 ガッツポーズに見えるあれも、きっとこの世界じゃ悔しがるポーズなのかも。

 もっと頑張ってムキムキにならなきゃ!

 そうすればきっとボクの事を嬢ちゃんなんて呼び方しなくなるよね!

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