閑話8 神々の事情
「おい、あいつ今誰が使ってるんだ?」
普通の人には認識出来ない世界で、神々のような存在がそれぞれの世界を管理していた。
基本的には1つの世界の中で完結しているべきなのだが、たまに生命体の交換が行われる。
それは直接世界を救う人に限らず、虫やカビなども含み、その世界で特効薬の材料になったりする事もある。
しかし、どの世界でも行き来出来るわけでは無く、その生命体の属性のような物が適合しないと世界の理から大きく外れ、破滅へと導いてしまうこともあるのだ。
大まかには3つ、赤・青・緑に便宜上色で分類され、2つの特徴を持ち合わせた世界は水色・黄・紫など、光の混色と同じように扱われる。
また、例外で天国や地獄と認識されている無色と黒も存在する。
赤・青・緑及びその中間色全てに対応出来る物を白、更に黒にも対応出来ると銀、無色まで全てに対応出来ると金といったように、対応出来る範囲で色分けしてあるのだ。
「緑の接続型で中位以上のやつがいるんだけど、誰か使えそうなのいない?」
実際に行って活動する世界間接続型、行った先で素材となる資源型、新たな法則になるエネルギー型などの区分もあり、影響力の大小で大位・中位・小位に分類される。
今回求められているのは緑の世界に適合できる現地在駐型の中位以上の生物で、基本的に知的生命体じゃないと対応できないレベルだ。
つまりはある程度文明が進化してる世界でないと出せない事になり、ゆえに金や銀などの生命体は万能故に様々な世界から引っ張りだこになってしまう。
ここの存在よりは格下だが、神を名乗ったり邪神を名乗ったり、はたまた魔王を名乗るような存在が現れたときには大位じゃないと対応できない。
そんな理由から、ここ数十年酷使されている人材がいた。
「久々に金の接続型大位なんて現れたから、みんな酷使しすぎだろ。」
「もう救った世界も20を超えたし、ナンバリングじゃなくて固有名詞つけてあげた方が良いんじゃない?」
ここの存在からすると、どのOSでも動く便利ツールのような扱いである。
ツール当人の気持ちを考えることはほぼ無いとはいえ、流石にここまでの成果を出すと多少は愛着もわくようである。
固有名詞をつけることで、神の祝福のような効果が現れる事も珍しくない。
改善が見えにくいときなどのテコ入れとしても固有名詞をつけられる事もある。
ここの存在からの祝福のような効果があるからなおさらだ。
「金の接続型大位だから、ゴールデン・リンクタイプ・ラージ。
略してゴリラで良いんじゃない?」
こうして本人の知らないところで公式にゴリラ扱いされることになったのであった。
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