第35話 となりのドロボー

「おうおう兄ちゃんここを通りたけ――」


 現れた盗賊をぶちのめし、街道を進む。


「ここを通りたければ身ぐるみ置いて――」


 また現れた盗賊をぶちのめし、街道を進む。


「金と命を置いて――」


 またまた現れた盗賊をぶちのめし……って盗賊多すぎだろこの道!!

 え、1人だから狙われているの?

 こんな盗賊が多かったら流通死ぬんじゃないの?


 も う め ん ど く さ い


 ここから範囲40kmくらいの盗賊で指定してロックオン。

 全体に魔法追尾弾を撃ち込んだ。



 ……ロック数が100超えてたんだけど。

 この街道おかしすぎるだろ!

 試しに街道沿いの魔物をサーチ魔法で探してみても、ほとんどいなかった。

 盗賊が倒してしまっているのかもしれない。


 ……ちょっとこのまま次の街へ行くのは嫌な予感しかしないんだけど。

 これだけ道を塞ぐように盗賊がいるのは作為的な物を感じる。

 次の街へ行くのを邪魔しているのか、もしくは出るのを邪魔しているのか。


 いや、きっと大規模な盗賊団がいただけだよね。うん。


 とりあえずロックが集中していた地点をいくつかまわってみたが、ろくな戦利品も無ければ捕まってる人もいなかった。

 盗賊が使っていた武器防具が人数分あったくらいだ。


 まあ何が待ち受けていようと俺には関係ないウホ。

 力があれば心の余裕も出来る物なのだ。

 盗賊が仕掛けた足止めらしき丸太や柵を蹴散らして進んでいく。

 俺の冒険はこれからだ!



 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 たどり着きました次の街。

 ここまで来ると出発した王都と文化が違うのか、街壁も白いコンクリートのような物ではない。

 石材を組んだ隙間にだけ使っているようだが、まるで日本の城の石垣を垂直にし、隙間をタイルの目地で埋めたような街壁になっている。

 一応表面が平らになっているのは登るのを防ぐためだろうか。

 唯一ある門の前には、兵士が1ぽつんと立っていた。


 緊急時にはどうするのか疑問に思いながら、兵士の方へ歩み寄る。

 こちらに気付いた兵士はいぶかしげな表情をすると、先に話しかけてきた。


「……何か問題でもあったのか?」


 どういう事なのだろうか。

 まるで俺がとでも思われているような。


「いや、ただの旅人なのですが、中には入れないんでしょうか?」


 俺がそう言うと兵士は警戒して身構えた。

 魔物がいる世界でひとり旅は珍しいかもしれないが、ここまで警戒するとなると少しばかりおかしい。


「とりあえず詰め所まで来てもらおうか。

 まずは武器を預かる。」


 嫌な予感がしたので、盗賊からナイフとロングソードを手渡す。

 受け取った兵士は武器を見ると少しばかり動きを止め、舌打ちすると門の横の通用口から入っていった。


 ……選択を誤ったか?


 既に後戻りは出来ないようだ。

 大人しく兵士について行くと、外壁の中へと入っていった。

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