第32話 バック・トゥ・ザ
全ての道はどっかの街に通ず!
……そんな風に考えていた
たどり着いたのは洞窟…と言うかダンジョンでした。
管理されているのか、入り口には詰め所と門が設置されていた。
門が低く木製な事を考えると、おそらくはそんな強いモンスターはいないのだろう。
マジかー…こっちの道は村じゃ無かったのかー……。
ちゃんと魔法でもジャンプしての目視でもいいから確認しておけば良かった。
どうせダンジョンとか傭兵しか入れないんだろうし、さっきの分かれ道まで戻って、別の道を行けばいいかな。
「アリだー!」
元の道に戻ろうとダンジョンに背を向けたその時、背後から叫び声が聞こえた。
気配が弱すぎるのか、ダンジョンが異空間になってるパターンなのか、魔物の気配は感じない。
目視確認をしようと振り返ると、ちょうど洞窟からデカいアリが出て来るところだった。
慌てて門を閉じるが、アリのアゴによりバリバリと砕かれていく。
門の前にいる人間が170cmくらいだと仮定すると、アリの頭は直径2mを超えるんじゃないだろうか。
とりあえず足下の小石を蹴り飛ばす。
ゴウンッと金属製のタンクをハンマーで殴ったような音とともに、アリの頭が跳ね上げられる。
うっは、マジか!死んでないぞあいつ!
小石と言えども蹴り飛ばすと散弾銃のようになって、人ならミンチになる威力のはずである。
死んではいなくとも相当痛かったのか、アゴをガチガチと鳴らしながら突進してきた。
後からも5匹ほど同じくらいのアリが散開しながらやって来る。
ウホッ!
先頭のさっき小石をぶつけたアリの首関節部分に木の枝を突き入れ、かき回しながらテコの原理で頭を外そうとする。
もちろんただの枝なので途中で折れるが、出来た隙間から指を突っ込み頭を引きちぎる。
そのままアゴ部分で2匹目、3匹目の首を狙ってねじり切るが、4匹目のアゴに挟まれて止められる。
そのまま手に持った1匹目の頭を強引に回すと、4匹目の頭もねじり切れた。
そのまま持っていた頭を捨てると、5匹目と6匹目の額に指を当て動きを止め――
……ようとしたら、そのまま突き破りました。
今までのアクションは全部無駄な動きでしたとさ!
まあ魔王をデコピンで倒した事があるんだから、こんな雑魚指先1つでダウ――
と、とにかく死骸を異空間倉庫に収納して、ダンジョン入り口の詰め所から口を開けたままこっちを見ている兵士はシカトして、さっき通り過ぎちゃった分かれ道を別の方向に進んでみよう。
「ち、ちょっと待ったあぁぁ!!」
やだよ逃げるよ!
それで本当に待つのは、ね○とんだけだろ!
こうして逃げる謎の格闘家の噂は徐々に広まっていくのだった。
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