第30話 そうだ、今日都を出よう。
生鮮食品を買い損ねたけど、まあ現地調達でいいか。
と言うわけで王都を出ようと思います。
なんだか変な髪型の人達が俺を探してるらしいし。
カイゼルハゲとか誰得だよ全く!
どこか冒険者的な組織があるところだと、金策が色々と楽なんだけどね。
しょうがないから貯蓄を削ります。
と言うわけでやって来ました道具屋へ。
今度は買うんじゃ無くて売るのですよ。
「おう兄ちゃん、何が欲しい?」
「……それは僕のセリフじゃ無いのかな?」
店に入るなり木製のカウンターに右肘をつき、斜め45度で渋く店員さんに欲しいものを聞く俺。
売りに来たんだからね、しょうがないよね。
「鉱石から不老不死の秘薬まで何でもあるよ?」
そう言った俺を胡散臭そうな目で見る店員さん。
まあいきなり不老不死の薬って言っても信じる方が頭おかしいよね。
「……じゃあ何か珍しい香辛料でも――」
「それはダメだ!
持ってるんだけどそれだけは色々と問題が…」
朝令暮改【ちょうれいぼかい】
朝に出した法令を夕方(
――作者の脳内国語辞典より――
「持ってるならそれにしてくれよ。
薬は試せないと判断できないし、香辛料なら少し舐めれば判断できる。
鉱石なんて鍛冶屋でもないと買わないじゃないか。」
ごもっともである。
でも、出来れば別の物が良い。
「じゃあ魔道具とかどうだ?
その辺の魔力を集めて水を作る水筒とか、何度でも使える火付けの棒とか。」
「何それ超欲しい――
い、いや、それはそんなに高く買い取れないなあ!
残念だけど大銀貨1枚くらいじゃないかなあ!」
最初に本音出てるジャマイカ。
この国の人間はデフォルトで人を騙すのか?
ボディコン姫は優しかったぞ?……お世話になってないけど。
「じゃあ頭を握りつぶされるのと、適正価格で買い取るのと、他の店にだけ同じ物を大量に売られるの。
どれがいい?」
真顔で物騒な選択肢を入れてみる。
だって脳筋だもの。み○を。
「……1個小金貨2枚でいかがでしょうか?」
おそるおそるといった様子で聞いてくる店員さん。
顔の汗が本気度を表している。
そりゃここで機会を逃してたら商人失格だよね。
まあこれならしばらく宿代に困らないだろう。
実は安宿に泊まるよりは、プレハブ出して野営する方が快適だったりするんだけどね。
「まあいいか、いくつずつ買い取る?」
「え、複数個お持ちなのですか!?
じゃ、じゃあ5個ずつで大金貨4枚でいかがでしょう!」
……コイツさり気なく値切ってやがるウホ。
「し、失礼しました!
大金貨5枚でお願いします!!!」
肘をついた反対の手でつかんでいたカウンターが粘土のようにへこんだのを見た店員さんは慌てて訂正する。
いや、大理石じゃあるまいし、木製でそんなに怯えられても……
「良いだろう、なるべく細かく崩してくれた方が嬉しいな。」
にこやかスマイルで
受け取ったのは大金貨3枚に小金貨6枚に大小銀貨3枚ずつと小半銀貨1枚と大銅貨50枚。
基本的に10進法のゴリラには少し難しいんだけど、これ大金貨4.75枚分じゃないのか?
「……足りない気がするんだが?」
「カウンターの修理代が小金貨1枚になります。」
あ、はい。
この国弁償に厳しいなコンチクショウ!
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