第27話 思惑外

 自由には責任が、権利には義務が伴うものである。

 法律を守るという事は法律に守られるという事であり、逆に言うなら守られる必要が無いなら守る必要も無いという事だ(注:ゴリラの思考です。真似しないでください。)


「とりあえずそこのカイゼルヒゲの言う通り、俺が先に手を出したという事にされるなら……

 国が亡びる覚悟までしておけよ?」


 フッ……決まったな!


「何を馬鹿な事を言っている。

 ほ、捕縛するのは勘弁してやるから、おとなしく詰所までついて来い!」


 あ、この衛兵ちょっとビビってる。

 俺のかっこいいセリフもそれなりに効果あるみたいだな!

 ……いや、結局連れていかれるんだけどね。


「コホン、私の事をお忘れではないかね?」


 このカイゼルヒゲしつこいな。

 俺の事をどうにか使いたいと思ってるのは確かなんだろう。

 伊達に貴族同士の権力争いに巻き込まれた経験があるわけじゃない。

 それくらいは流石に分かるようにもなるさ。


「お忘れです。さ、衛兵さん行こうか。」


「「なっ…!?」」


 思わず絶句するカイゼルヒゲと衛兵さん。

 いや、だって貴族にロクな思い出無いじゃん?当たり前のように逃げるに決まってるじゃん?

 もしくは殴るに決まってるウホ。


「さあさあ衛兵さん早く案内するウホ。」


 おっといけない、ゴリラは一旦停止です。


「いや、しかし……」


 そう言いながらカイゼルヒゲをチラ見する衛兵さん。

 貴族に遠慮しているのか、予定と違って困惑しているのか判断つかないな。

 まあついて行けばわかる事だし、とりあえずついて行く方向で。


「まあ良いだろう。連れて行け。」


 そう衛兵さんに命令するカイゼルヒゲ。

 あれれ~?本当に詰所に行くのかな~?


 そう思いながらも衛兵に連れられて行くと、城の方に進んでいく。

 どう見ても建物が大きくなってます。

 この辺って貴族が住んでるところじゃないのかなー?

 歩いている人がメイドや執事ばかりになってきたぞ?


「……ここだ。」


 衛兵さんが指したのは大きな建物。

 カイゼルヒゲは先に入っていく。



 ……どう見てもカイゼルヒゲの家ジャマイカ。



「ここが詰所なの?違ったら暴れるよ?」


 そう言った瞬間固まるカイゼルヒゲと衛兵さん。

 しかしすぐ立ち直ったカイゼルヒゲが手を上げると、建物から出て来た衛兵らしき人達が取り囲みだした。


 一応は同じ装備で統一されているが、城の兵士よりは見劣りする格好だ。

 近衛と衛兵の違いかと思っていたが、どうやら私兵だったのだろう。


「つまり暴れていいウホ?」



 全員を地面に埋め、前髪をカイゼルヒゲ状に固定。

 その後他の部分を全剃り。ついでにカイゼルヒゲのヒゲも全剃り。

 カイゼルヒゲとその私兵はカイゼル頭に進化した!


「さて、帰るか。」


 埋めっぱなしで宿屋に帰りました。

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