閑話3 魔王と狐火と
1年前、おそらくは勇者であろう男が大陸中を駆け回っていた。
正直、当初はその情報を信じられなかった。
慌てた連絡の後に、次々と連絡が途絶える配下達。
最初はタイミングを合わせて排除されたのだろうと思っていた。
奇襲をかけられたようで、仲間が殺されたとの報告の途中で魔法の繋がりが切れるのだ。
時間差は4日程度で、大陸中の配下が殺されたことになる。
横断するだけで馬車で2ヶ月はかかるような大陸中の、だ。
特徴が共通していること、下っ端は全員頭を殴られ吹き飛ばされていること、連絡係は体の端から削られていること。
報告する時間があったのはそのためだろう。
特徴も手口も同じなら、信じられないが同じ人物がやったという事なのだろう。
きっと勇者に違いない、次に現れた時には逃さず討ち取らねばなるまい。
そう思い、戦力の強化に努めた。
正直作戦なんて数に物を言わせるのと、人質を取ることしか思い浮かばない。
それくらい敵は強かったのだ。
唯一の弱点は1人ずつしか相手できない事。
味方の数が多ければ、全滅する前に人質を取れるかもしれない。
卑怯と言われようと、俺は魔王だ。
勝てるなら何でもいいんだ!!
……燃えました。
いや、聞いてないから。
キロ単位の広さで、地面の草を燃やさないレベルで、敵だけを選んで。
そんな器用に広範囲殲滅魔法が使えるとか聞いてないから。
しかしこんな事で死ぬ俺ではっ……バサッ
なぜか丸坊主になりました。
そしてそのまま魔王は息を引き取った。
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まるで5輪の蘭のような狐火。
それはお兄ちゃんが残したとされる狐火師の夢であり目標であった。
色が変わる、途中で広がる、5つ連続で打ちあがる。
この中で再現できたのは5つ連続の部分だけでした。
これは5人いれば再現できるというだけだったけど。
そんな中、私たちは色が変わる仕組みを解き明かそうとしていた。
狐火の色は金属の種類で変わると教わったから、単純に何種類か使えばいいんだろうけど……
「おねえちゃん!お兄ちゃんが残したメモがあったよ!!」
あったんかーい!!!
今まで考えてた時間を返せー!!!
これで再現できる!
やり方は……
「5層構造?1層が髪の毛1本分?間に火薬を挟む事で開く?え?
……そんな高度な魔術操作できるわけないでしょバカーーー!!!」
結局やり方が分かっても、再現するのに数十年の時間がかかりましたとさ。
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